皆さんもよく知るライト兄弟の飛行機。実は、とんでもなく操縦が難しい飛行機だったってご存知でした?今回はそんなお話です。
ライト兄弟の飛行機は写真を見ても分かるように、水平尾翼が前にある先尾翼という、現在はあまり一般的ではない形式でした。
なぜこの形式をライト兄弟が選んだのか?
それについては、私はよく分からないのですが…。
もともと先尾翼の飛行機というものは、あんまり安定が良くないものなんです。
それは、重心位置よりも前に水平尾翼がある関係上、抵抗になるものが前にあることにより、結果的にその飛行が不安定になりがちになってしまうんです。
そして、何よりも、ライト兄弟の飛行機には致命的な欠陥があったんです。
それは…。
水平尾翼が全部舵として動く、今で言う「フライングテール」という形式だったことです。
この、水平尾翼が全部動くフライングテールという形式。その角度の管理が難しく、基本的には水平尾翼としてしっかりと固定されていないと、とてもピッチの安定を取ることが出来ないものなのです。
基本的には、飛行機は主翼と尾翼の取り付け角の関係が、このブログで何度もご紹介しているように
この関係がないと、ピッチの安定がとれません。
フライングテールの機体の場合も、基本的にはこの関係を保っていないと、飛行機は安定して飛ぶことが出来ないんです。
で…。
ライト兄弟の飛行機をもう一度よく見てみると…。
水平尾翼は、特に決まったポジィションに固定されているわけでもなく、単純に人が持つ操縦桿に直結されているだけだったのです。
これでは水平飛行が安定して行えるはずがありません。
更に…。
ライト兄弟が最初に作った飛行機は、水平尾翼の面積、そして、重心位置からの距離がとても少なく(この両者の積が飛行機のピッチの安定性を決める水平尾翼容積という特別な言い方をする)、もともととてもピッチの安定が悪
いシロモノだったのです。
本来ならば…。
水平尾翼全体が動くフライングテールにするのではなく、安定板をある程度設けた、一般的な飛行機が採用し
ている形式にすべきだったと思います。
余談ですが、某自作飛行機の競技を行うテレビ番組では、このフライングテールを採用している機体は、その機体の水平尾翼が、電気的に動く、しっか
りとしたサーボで、頑丈に固定されてでもしていない限り、単純にワイヤーなどで操縦桿に直結されている機
体では、ピッチの安定がとれず、その飛行に危険があるものと判断され、大きな減点対象になっています。
でも…。
それでも…。
ライト兄弟の飛行機は見事に飛ぶことが出来ました。
これは、ライト兄弟が人一倍その飛行を訓練し、神業的なピッチコントロールの技術を習得することに成功していたこ
とに他ならないからなんです。
正直、ライト兄弟が最初に飛ばした飛行機は、ちょっとその飛行には問題があったのですが、彼らは操縦の努力でそれを補って見事に飛んでしまったの
です。
こんなことはあり得ないことですが…。
もし、私がライト兄弟の最初の飛行に立ち会ったとして…。
そして、もし、私が彼らの飛行機に乗ることになったとしたら…。
おそらく、次のような改造をしたでしょう。
それは…。
まずパイロットの位置を彼らが決めた位置よりも少し前に変更、つまり、重心位置を前に変更し、そして、水平尾翼を大きめの取り付け角に
設定して、完全に固定してしまったと思います。
このほうが、かえってピッチの安定が出て飛びやすくなったと思います。
水平尾翼が完全に固定されても、もともとピッチは不安定な機体であったため、前後の体重移動だけで十分コントロールは出来た
と思います。
…。
…。
なんだかんだと大先輩のライト兄弟の揚げ足取りのようなことを書いてしまいましたが…。
翼をねじってバンクをかけ、世界で初めて安定した飛行機の旋回を成功させたことは、後々の飛行機の発展に大きな功績を、ライト兄弟は残
したことは間違いありません。
このアイデアは、やはり、彼らの本業が「自転車屋さん」だったからに他ならないと私は思います。
自転車はバンクをかけなければ曲がりません。
ライト兄弟は、鳥の飛行を観察しているうちに、鳥が旋回している時は、自転車と同じようにバンクをかけている事実に、自転車屋さんだったからこそ
気づくことが出来たのだと思います。
ライト兄弟は、飛行機を飛ばした後は、その特許権がなかなか認められず、苦労しながら細々と飛行機や飛行機のエンジンを作る会社を立ち上げて、少
ない収入を得る生活を続けることとなります。
そして、あまりパッとしない人生を過ごすことになるのですが…。
実は、先ごろ日本に導入が決まった最新鋭戦闘機のF35。
この飛行機を作ったロッキード・マーチン社という会社は、その歴史をたどっていくと、驚くことに、このときライト兄
弟が起こした会社に行きつくのです。
そういった意味でも、ライト兄弟が残した功績は、やはり大きなものであったと言えます。
こんな航空界の歴史の中で、ライト兄弟よりも先に、同じアメリカで、飛行機の安定した飛行を成功させていた人物がいたことはあまり知られていませ
ん。
次回はその人物をご紹介いたしましょう!
ライト兄弟の飛行機は写真を見ても分かるように、水平尾翼が前にある先尾翼という、現在はあまり一般的ではない形式でした。
なぜこの形式をライト兄弟が選んだのか?
それについては、私はよく分からないのですが…。
もともと先尾翼の飛行機というものは、あんまり安定が良くないものなんです。
それは、重心位置よりも前に水平尾翼がある関係上、抵抗になるものが前にあることにより、結果的にその飛行が不安定になりがちになってしまうんです。
そして、何よりも、ライト兄弟の飛行機には致命的な欠陥があったんです。
それは…。
水平尾翼が全部舵として動く、今で言う「フライングテール」という形式だったことです。
この、水平尾翼が全部動くフライングテールという形式。その角度の管理が難しく、基本的には水平尾翼としてしっかりと固定されていないと、とてもピッチの安定を取ることが出来ないものなのです。
基本的には、飛行機は主翼と尾翼の取り付け角の関係が、このブログで何度もご紹介しているように
この関係がないと、ピッチの安定がとれません。
フライングテールの機体の場合も、基本的にはこの関係を保っていないと、飛行機は安定して飛ぶことが出来ないんです。
で…。
ライト兄弟の飛行機をもう一度よく見てみると…。
水平尾翼は、特に決まったポジィションに固定されているわけでもなく、単純に人が持つ操縦桿に直結されているだけだったのです。
これでは水平飛行が安定して行えるはずがありません。
更に…。
ライト兄弟が最初に作った飛行機は、水平尾翼の面積、そして、重心位置からの距離がとても少なく(この両者の積が飛行機のピッチの安定性を決める水平尾翼容積という特別な言い方をする)、もともととてもピッチの安定が悪
いシロモノだったのです。
本来ならば…。
水平尾翼全体が動くフライングテールにするのではなく、安定板をある程度設けた、一般的な飛行機が採用し
ている形式にすべきだったと思います。
余談ですが、某自作飛行機の競技を行うテレビ番組では、このフライングテールを採用している機体は、その機体の水平尾翼が、電気的に動く、しっか
りとしたサーボで、頑丈に固定されてでもしていない限り、単純にワイヤーなどで操縦桿に直結されている機
体では、ピッチの安定がとれず、その飛行に危険があるものと判断され、大きな減点対象になっています。
でも…。
それでも…。
ライト兄弟の飛行機は見事に飛ぶことが出来ました。
これは、ライト兄弟が人一倍その飛行を訓練し、神業的なピッチコントロールの技術を習得することに成功していたこ
とに他ならないからなんです。
正直、ライト兄弟が最初に飛ばした飛行機は、ちょっとその飛行には問題があったのですが、彼らは操縦の努力でそれを補って見事に飛んでしまったの
です。
こんなことはあり得ないことですが…。
もし、私がライト兄弟の最初の飛行に立ち会ったとして…。
そして、もし、私が彼らの飛行機に乗ることになったとしたら…。
おそらく、次のような改造をしたでしょう。
それは…。
まずパイロットの位置を彼らが決めた位置よりも少し前に変更、つまり、重心位置を前に変更し、そして、水平尾翼を大きめの取り付け角に
設定して、完全に固定してしまったと思います。
このほうが、かえってピッチの安定が出て飛びやすくなったと思います。
水平尾翼が完全に固定されても、もともとピッチは不安定な機体であったため、前後の体重移動だけで十分コントロールは出来た
と思います。
…。
…。
なんだかんだと大先輩のライト兄弟の揚げ足取りのようなことを書いてしまいましたが…。
翼をねじってバンクをかけ、世界で初めて安定した飛行機の旋回を成功させたことは、後々の飛行機の発展に大きな功績を、ライト兄弟は残
したことは間違いありません。
このアイデアは、やはり、彼らの本業が「自転車屋さん」だったからに他ならないと私は思います。
自転車はバンクをかけなければ曲がりません。
ライト兄弟は、鳥の飛行を観察しているうちに、鳥が旋回している時は、自転車と同じようにバンクをかけている事実に、自転車屋さんだったからこそ
気づくことが出来たのだと思います。
ライト兄弟は、飛行機を飛ばした後は、その特許権がなかなか認められず、苦労しながら細々と飛行機や飛行機のエンジンを作る会社を立ち上げて、少
ない収入を得る生活を続けることとなります。
そして、あまりパッとしない人生を過ごすことになるのですが…。
実は、先ごろ日本に導入が決まった最新鋭戦闘機のF35。
この飛行機を作ったロッキード・マーチン社という会社は、その歴史をたどっていくと、驚くことに、このときライト兄
弟が起こした会社に行きつくのです。
そういった意味でも、ライト兄弟が残した功績は、やはり大きなものであったと言えます。
こんな航空界の歴史の中で、ライト兄弟よりも先に、同じアメリカで、飛行機の安定した飛行を成功させていた人物がいたことはあまり知られていませ
ん。
次回はその人物をご紹介いたしましょう!
重量・空気抵抗・製作などの観点から全遊動昇降舵を採用している人力飛行機チームは多いと思いますが、ピッチ静安定の安全性を考慮すると、そうした機体ではセルフセンタリングのような機構を導入するのが望ましいということでしょうか。
ご回答頂ければ幸いです。
現在、全遊動昇降舵機はフライバイワイヤーでサーボにて動かす方法が主流ですが、これならば、調整がちゃんととれていれば当然不要です。
問題はワイヤーにて昇降舵を動かす場合…。
この場合、ピッチのニュートラル位置が分かりづらいので、パイロットにとってピッチの操縦がしにくいはずです。
言われるように、この場合はセルフセンタリングの機構を設ける。水平尾翼に安定板部分を設ける。ピッチ安定が良くなるように、水平静ボリューム比を大きめにする。パイロットの操縦技術を上げる?などの対処方法があると思います。
確か、今年の日大理工学部はワイヤー式でやっていたと思いますから、ちょっと聞いてみても良いのでは?
ちなみに…。
審査員の先生方は皆さん実力者ぞろいです(私以外)。
この辺の安定にかかわることは、安全に直結しますので、すごく図面を見てますよ!
主翼や水平尾翼の取り付け角などは必ず明記しておいてくださいね!
うちの機体もワイヤリンゲージですが、セルフセンタリング機構などは信頼性の観点から疑問がありますから、パイロット操縦訓練と容積比による解決が妥当と考えています。
図面の記載については注意していきます。
またなにかありましたら質問させていただくかもしれないですが、どうかよろしくお願いします。
ワイヤーリンケージでうまく設計すれば、操舵の際に適切な「重み」が手に感じられるように出来ることも可能で、操縦しやすい機体を作ることも出来ると思います。
頑張ってください!