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流行病(はやりやまい)

2014-05-16 22:50:26 | Weblog
古い言い回しですが、はやりやまい(流行病)と言えば通常は感染症をさす言葉です。

我々の業界用語としては、不思議と同じ病気が続く場合を揶揄して言います。
例えば交通事故の骨折が、短期間に不思議と連続するような場合をいうのです。
普段あまりないような病気が連続してくると、またか!という気になります。

妊娠した外猫の不妊手術が連続したり、子宮蓄膿症の犬が続けざまに来院したりすると、
まだ来そうな気がする・・・と言っていると当たってしまったりもします。
最近のうちでの流行病は、内分泌疾患である「クッシング症候群」です。

クッシング症候群は犬では比較的よくあるホルモン失調です。
副腎皮質ホルモンの過剰産生がその本質ですが、意外と単純な疾患でもないのです。
様々な臨床症状の他に、種々の合併症も出てきます。
多飲多尿の他に、皮膚病(脱毛)・過呼吸などの症状に加え、
膵炎や高血圧を合併する場合が多いです。

原因の大半は脳の下垂体にできた腺腫です。
多くは良性の腺腫で、時々巨大な下垂体腺腫が見つかります。
この場合は投薬は原則禁止です(ネルソン症候群を起こすから)。
でもたいていは MRI/CT を撮影しないで、投薬に至るケースが多いようです。
時々副腎の腫瘍を見つけます。
こちらは悪性腫瘍が多いですね。

意外にあなどれないし「基本が腫瘍性疾患」なので、
ものすごく神経を使います。
人ではクッシングはすごく少ないらしいです。
確かに猫ではかなり稀ですね。
私は3例くらい診断に至りましたが、皆皮膚がペラペラの、
「皮膚脆弱症候群」や糖尿病を合併していました。

犬のクッシングは珍しくはないですが、ワンパターンの治療ではうまく行きません。
細やかなモニタリングが必要になるんですね。
薬も高価だし、あまり頻繁に見つかってほしくはないですね。
でもうちではけっこう流行っています・・・。



















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