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腹腔内出血・・・

2014-05-13 11:26:11 | Weblog
時々来る高齢のワンちゃんが、嘔吐・下痢・食欲不振で来院しました。
耳や歯茎がやや白く、貧血があると判断されました。
またお腹の張りが異常に感じられました。

全身状態を調べるスクリーニング検査を実施しました。
腹腔内に腹水があり、中心部に巨大なシスト(袋)が観察されました。
腹水は12%程度の出血性で、どこか血管が破綻していることは明らかでした。
画像からは左腎臓の水腎症が原因と予測されました。
稀には卵巣の嚢胞や消化管腫瘍の浸潤などの可能性も捨てきれません。

状態を安定化させるため輸血を開始、嘔吐・下痢に対する対応も並行しておこないました。

   一晩輸血したものの、貧血は進行・・・

という事態なので、飼い主さんによく説明した上で開腹手術にご同意いただきました。
心臓弁膜症・貧血・腎機能低下・血液凝固系の検査値異常(DICではない)を抱えつつ、
輸血を追加しながらのハイ・リスクな開腹手術となりました・・・。

開腹して腹腔内を観察、やはり左の水腎症でした。
消化管と癒着、左の卵巣周囲の血管からじわじわと出血が認められました。
引っ張られすぎて、血管が避けて破断してしまったのでしょう。
シーズーの腹腔内にあるシストは、13cm直径はありましたね。
病変を摘出した後、出血がないことを確認して閉腹しました。
麻酔からの覚醒は良好でしたが、術後に体重が10%減ってしまいました・・・。

一晩たって、現在の状態は落ち着いています。
十分な鎮痛をかけて経過を観察していますが、まだ予断を許しません。
今回は勝負に出て正解でした。
 
  「術中死する可能性もありますよ・・・」

で開始した手術でした。
前日に、テレビ番組で、心臓外科の天野篤教授の特集を観ていたので、
ちょっとテンション高かったかな。















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