外科医 アンチエイジングに目覚める!?

目指そう サクセスフル・エイジング !

抗糖化 で 減らせAGEs 

炭水化物も要注意    

カロリー制限でサクセスフル・エイジングの著明な実例

2011-11-28 12:05:11 | サクセスフル・エイジング
1つ前の記事

 カロリー制限で減量成功するかは遺伝子発現で決まるそうな

は、いささかperplexingな話となった感があり、

筆者もビンボーゆえ、読んだのは原著全文ではなくAbstractのみ。

しかも、ボンビーな英語力も災いしたかも知れません。



しかし結局、先に紹介した研究がいうところは


 カロリー制限(CR)は

 脂肪酸代謝とクエン酸回路と酸化的リン酸化とアポトーシス(細胞自死)を

 制御する遺伝子発現に影響を与える。

 カロリー制限(CR)によって生じた体重減少を

 維持できる人とリバウンドしてしまう人では

 その遺伝子発現に違いがみられる



ということのようです。


すでにお気付きのように、

この研究は「体重減少の維持」だけをターゲットとしたものであり、

カロリー制限(CR)の健康長寿への効果」を調べたものではありません。


先の記事の最後の部分で、


 まぁ、このような遺伝子発現レベルでの話が、

 カロリスで健康長寿ということの根っこの部分なんでしょうね。


と、書いた意味は単純に、

 
 カロリー制限(CR)による健康長寿のメカニズムは

 遺伝子発現レベルで起こっているのだねぇ



という意味合いなのでしたが、

「クサいバカ」な筆者は、ついついコメント欄では

「体重減少維持」と「健康長寿」をごちゃ混ぜにしてしまったのでした。



さて、

加齢に大きく関与する分子機構の解明は日々進歩しています。

これまでで2つのポイントが提示されています。

ひとつは、カロリー制限(CR)仮説であり、

もうひとつは、酸化ストレス仮説です。


現時点で、酸化ストレス仮説

    活性酸素
      ↓
      炎症
       ↓
      臓器加齢

ということで、臓器の加齢で重要なメカニズムと認識されています。

細胞内シグナル伝達系に関わるタンパク質合成をコードする

Shcという遺伝子の一部を破壊したマウスでは

酸化に対する抵抗性が高まり、平均寿命が30%延長しました。



1956年米ネブラスカ大学のダンネルハーマン教授が

ミトコンドリアで産生される酸化ストレスが加齢を促進する

と、発表したことが「酸化ストレス仮説」の始まりです。


以来、

 線虫で、 ミトコンドリアの酸化ストレス亢進で  寿命短縮
 
 ハエで、 SODを過剰発現させると       寿命延長

 マウスで、ミトコンドリア内カタラーゼ過剰発現で 寿命延長

ということが知られています。



では次に、カロリー制限(CR)仮説です。

そもそもの始まりは1935年にまで遡ります。

マウスで、摂取カロリーを70%に減らすと

寿命が延長することが発表されました。


半世紀超の時が過ぎた1988年

線虫において、age1遺伝子の変異により

寿命が1.5倍に延長されることが見出されました。


この遺伝子の働きは、哺乳類においては、

インスリンシグナル伝達の中核を占めています。


つまり、インスリンシグナルを遮断すると寿命が延長する!

さらにインスリンに似たIGF(insulin-like growth factor=インスリン様成長因子)

の抑制も同様に、寿命延長に関係することが知られてきました。


逆に言えば、

 「食物たくさんな状態では、

  IGF/インスリン・シグナルが活性化して

  加齢が促進する


ということが、次第に明らかとなってきました。


1993年、線虫において daf2遺伝子変異で 寿命延長。

1995年、マウスにおいて Prop-1遺伝子変異で 寿命延長。


daf2もProp-1も、どちらもインスリンシグナルに関与する遺伝子です。



2000年、カロリー制限(CR)によってサーチュイン酵素の活性化により

アポトーシスの抑制および抗酸化酵素の発現増強により

長寿に関わるシステムを増強することが判明しました。


簡単に 図にしてみますと

   カ  ロ  リ  ー 制  限 (CR)

      ↓               ↓
 
IGF/インスリン・シグナル 低下   サーチュイン活性 増加

      ↓               ↓

長 寿 関 連 遺 伝 子 群 の 発 現 ・ 維 持

              ↓

      健  康  長  寿 


というようなことになるわけです。


哺乳類での研究は、もうお馴染みのアカゲザルの研究です。


肝心のヒト(人間)ではいったいどうなのか?


実は、これにも有名な実験結果が知られています。


今年の10月4日に100歳の誕生日を迎えられた方。


 


聖路加病院理事長の日野原重明先生、その人です。


日野原先生は、ローカロリー食を25年前、

つまり75歳から実践されました。

先生はご自分の基礎代謝が1200kcalで、

1日1300~1400kcalの食事をしているとおっしゃいます。


必要カロリー1560kcalに対し、10~17%程度のカロリー制限食です。


また、脂肪のない100gのステーキを週2回食べるのだそうです。


「お魚は毎日摂る。お豆腐などの大豆製品は積極的に摂取します。

 あと、野菜はいっぱいね。

 それにオリーブ油を使ったドレッシングをかけていただきます。」
 

また、日野原先生いわく、

 「私は、75~85歳までの高齢者を対象に
 
  コホートスタディーをやっているのです。

  その年齢で元気でやっている人は

  コレステロール値が高い
のです。

  何を基準値にするかということに対し、

  75歳以上には文献がないのです。」 


自らCRによるアンチエイジングの実験をされている日野原先生は、

日本抗加齢医学会の最高齢の顧問です。

(ちなみに筆者はその専門医の資格を持つ「クサいバカ」です。) 



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1 コメント

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75歳からCRかぁ・・・ (初心者クライマーのおまつ)
2011-11-28 16:16:52
というと、アンチエイジングのための手段だから、CRは老人のための健康法と言うことになるのでしょうか?

後期高齢者医療制度の対象の年令になったら、運動よりCRで健康増進を考えた方が良いのでしょうね。

ただ、まだマラソンもし、下手するとウルトラマラソンまでやるような人達も、CRによってサーチュイン酵素の活性化って騒いでいて、どーかなーと思うのです。

運動が十分できる世代、または余裕がある人は、適切なカロリーを食べてホドホドに運動する方が良いのではと思うのですが・・・

このアタリは是非専門家に切り分けをして欲しいなと思います。

ワタシはフルマラソンを走れなくなったら、CRを検討するかもしれないですね、多分・・・
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