クラシカルな映画に出演することが多いベネディクト・カンバーバッチ。
彼を目当てに観ることはないのですが、かなりの作品を観ています。
観るたびに演技力があるので、この役にピッタリと思っていましたが、
ノミネートされたアカデミー賞主演男優賞を逃がしたのは、
どうしてだったのだろうと考えたほどの名演でした。
第2次世界大戦時、ドイツの世界最強の暗号エニグマを解き明かした
天才数学者アラン・チューリングの波乱の人生を描いた伝記ドラマ。
性格も性も複雑なチューリングを演じるのがベネディクト・カンバーバッチ。
実際、遠縁にあたるというお話もあるようですが…。
劣勢だったイギリスの勝利に貢献し、
その後コンピューターの概念を創造し「人工知能の父」と
呼ばれた英雄であったにもかかわらず、
戦後悲劇の運命をたどったチューリング。
アカデミー賞脚色賞を獲得した脚本の秀逸と巧みな演技で、
どんどん物語に吸い寄せられていきます。
スリリングな展開と歴史的な瞬間を追体験していくのですから
疲れていたのにまるみの脳もフル回転。
戦争映画は、もうたくさんという思いでいましたが、
戦闘シーンがあるというわけではなく、
暗号を解き明かし、終戦を早めたことにより
多くの命を救ったチューリングの生き様に触れられたような気がします。
「時には思いも寄らぬ人物が偉業を成し遂げることがある」
作中何度も語られましたが、
歴史というものはそういうものかもしれません。
伝記、戦争、ヒューマン、サスペンス…
複雑なテイストが絡み合い、そして、傑作が生まれた。
奥の深い、もう一度観て観たいと思う作品に出会いました。
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、
キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード
ユナイテッド・シネマとしまえん
2015.3.19