読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

暴力とポエジー。地獄とエクスタシーの衝撃作「アレックス」(フランス/2002)

2007-07-24 02:32:20 | 映画;洋画
監督、脚本:ギャスパー・ノエ
製作:クリストフ・ロシニョン
音楽:トマ・バンガルテル
出演:モニカ・ベルッチ、ヴァンサン・カッセル、アルベール・デュポンテル、ジョー・プレスティア

「ある男を探してゲイクラブへ押し入る2人組。ゲイの連中に取り囲まれた彼らはひとりの男に凄惨な暴力を加える。発端はあるパーティの夜。マルキュスはちょっとした諍いから婚約者アレックスを一人で帰してしまう。その直後、アレックスはレイプに遭い、激しい暴行を受けてしまうのだった。自責の念に駆られるマルキュス。彼は友人でアレックスの元恋人のピエールとともに犯人探しを開始する。やがて、女装ゲイ、ヌネスを探し出した2人は、ヌネスからついにテニアという男の名を聞き出すのだった…」。(allcinema)

「『カルネ』『カノン』のギャスパー・ノエ監督がモニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルを主演に迎えて手掛けた衝撃の問題作。婚約者をレイプされた男の復讐劇を時間を遡る形で描く。2002年のカンヌ国際映画祭で初披露された際は、途中退場者が出たものの、最後まで見た観客は惜しみない拍手を送ったといいます。モニカ・ベルッチが体当たりで演じた壮絶なレイプシーンが物議を醸し、その暴力描写に賛否が渦巻いた、というのはわかります。

ギャスパー監督の弁。「僕の唯一の限界、それは俳優の限界。レイプシーンの限界を決めたのはモニカで、彼女がより遠いところまで行ったんだ。ほかの誰でもない」

一方、モニカの淡々としたコメント。「この映画は暴力とポエジー。地獄とエクスタシーなのよ。人生がそうであるように」

逆時間軸。エンドロールから始まり、過去へと溯っていく。ハンディで撮った揺れる映像、まるで低周波音のようなデジタル音、陰湿なゲイクラブ、凄惨な暴行シーン、10分に及ぶ壮絶なレイプシーン、これ見よがしの男性器の露出、エンディングの断続的なフラッシュ映像。この作品を劇場で観ていたらどうなっていただろうか?ビデオで観ていても頭が卒倒しました。

逆時間軸を描いた作品では、前向性健忘症の男性を描いた「メメント」(クリストファー・ノーラン監督/2000)、古くは自殺志願者の最後の二日間を痛々しくスケッチしたフランス映画(ルイ・マル監督/1963)などがありますね。私はこの映画は観ていて不快、不安に始まり、絶句があって、次第に自律神経が調整されていくような感覚になりました。そして、最後の「時はすべてを破壊する」というキャプションに「なるほど」と唸ってしまいました。

この映画には賛否両論沸騰すると思います。しかし、歴史を振り返ると時代を切り開いてきたアーティスティックな作品はほとんどが問題作でした。しかし、このブログで「アレックス」を観ようと思った方は、覚悟して観てください。できれば一人で。キーワードは、レクタムとデニア。


ギャスパー・ノエ(Gaspar Noe、1963年12月27日 - )は「アルゼンチン・ブエノスアイレス出身の映画監督・脚本家である。アルゼンチン人であるが、13歳でフランスに移住したため、フランスで活動している。監督作品は今のところ3作であるが、毎回衝撃的な作品を作り上げ、物議をかもしている」。

作品は、「カルネ/Carne」(1994)、「ミミ/Mimi」(1996製作・撮影)、「カノン/Seul contre tous) (1998)。特に『アレックス』は、映画史上最長とも言われる暴力的なレイプシーンがあり、カンヌ国際映画祭では、1500人の観客のうち約200人が途中で退場したという。


モニカ・ベルッチ(Monica Bellucci、1964年9月30日-)は「イタリアウンブリア州ペルージャ県チッタ・ディ・カステッロ出身の女優である。妖艶さと品の良さを併せ持つ完璧な容貌から『イタリアの宝石』『世界一の美女』と評される女優。夫は俳優のヴァンサン・カッセル、従って夫の父親であるジャン=ピエール・カッセルは義父となる。ペルージャ大学在学中、学費を稼ぐためにモデルを始めたところ、瞬く間にトップ・モデルになる。1990年に映画デビュー」。

「1999年に俳優のヴァンサン・カッセルと結婚、2004年に第一子を出産。出産前にイタリア版『ヴァニティ・フェア』誌上で、妊婦姿のヌードになった。近年イタリアで、未婚女性、同性愛の女性、出産適齢期を大幅に過ぎている女性への人工授精治療を禁止した法律が施行され、それに対する抗議のためであるという」。

「ふくよかで健康的なスタイルの持ち主。ドルチェ&ガッバーナのショーに来場した時、痩せすぎモデルが問題になっていた為、それと対極するモニカの体型は話題となった。『日経エンタテインメント!2007年5月号』(日経BP)では、「モニカが招待されたのは、痩せすぎモデルの規制とは無関係だろうが、モニカのふくよかで美しい体は、痩せ過ぎや過度なダイエットの無意味さを物語るのには十分。」と評価された」。

「また、同誌と女性誌『STORY』はモニカの体型を「モテぷよ(贅肉を利用してモテようの意)」と形容しており、モニカはその代表格であると言っている。近年、モデルだけでなく俳優で痩せすぎを指摘されている人物が多く、ハリウッド映画界においては『痩せていないと役がもらえない』と言われている中、健康的な体型を維持し、自然体でいるモニカは珍しい存在であるといえる」。(ウィキペディア)


ヴァンサン・カッセル(Vincent Cassel, 1966年11月23日-)は「フランス出身の俳優。父は俳優のジャン=ピエール・カッセル。サーカスとダンスの学校で学び、アメリカのアクターズ・インスティテュート・オブ・ニューヨークでコメディを学び、1991年に映画デビュー」。

「その後マチュー・カソヴィッツ監督と知り合い、95年の『憎しみ』で一躍注目された。97年の『ドーベルマン』で日本でも広く知られるようになり、自動車のCMにも出演。若手フランス俳優の中で最も有望視され、今後の展開が注目されている。妻は“イタリアの宝石”と呼ばれるほどの美貌を持つモニカ・ベルッチ。セシル・カッセルは母違いの妹」。(allcinema)


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