脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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長崎、リーグ屈指の得点力 -MIOびわこ草津vsV・ファーレン長崎-

2011年11月14日 | 脚で語るJFL
 今季の全日程もあとわずかに迫ってきたのはJや地域リーグだけでなく、JFLも同じく。ほとんどのチームが残り試合を5~6試合とし、注目はJ参入に関わる4位以内の争いや降格、入替戦のかかった下位争い。後期第15節、14位・MIOびわこ草津と5位・V・ファーレン長崎は東近江の布引グリーンスタジアムで行われ、長崎が6-0でびわこを下してリーグ2位タイに総得点を伸ばし、順位を4位に上げた。

 

 久々のJFL観戦は東近江への1年ぶりの来訪。1年前にJ昇格を決めた鳥取とびわこの試合(5-0でびわこが勝利)を観に来たが、ちょうど布引グリーンスタジアムはその試合がこけら落としで、今季はすっかりびわこがリーグ戦の多くをここでこなしている様子。名神高速・竜王ICからスタジアムまでの牧歌的な風景はまた何とも言えずノスタルジックで個人的には好きだ。到着早々、美味しそうな香りを漂わせる近江牛カルビ丼を買ってスタジアムに入る。

 ここまでホーム・びわこは直近3試合で明らかに調子が上向き。10/22の後期第12節では8試合ぶりの勝利を2位につける長野からもぎ取って3戦無敗。対する長崎はその後期第12節で高崎に1-2と敗戦を喫するものの、9月からまだ2敗しかしておらず5位につける絶好調。好調同士の対戦となった。

 この試合、スタジアムの西側から強い風が吹きつけ、天気も晴れていたと思いきや、すぐに厚い雲がその頭上を覆うなどコンディションはまちまち。特に前半は風上に立ったびわこがチャンスを作るには分があると思われた。ところが、開始5分で長崎に先制点のチャンスが。エリア内に突進した長崎・FW水永をびわこGK・永冨が倒してしまいPKの判定。これを長崎は有光が決めて早々に先制に成功する。35分には、左サイドから駆け上がった持留のクロスがファーに流れたところを岡村が合わせて2点目を奪う。対するびわこも風上を活かし、ロングボールで長崎エリア目がけての攻勢に出るが、あと一歩ゴールに及ばない。特に前線で園田が駆け回ってチャンスを作ろうとするが、長崎の守備陣に阻まれた。

 
 5分に長崎が有光の先制点となるPKで先行。

 
 びわこは園田が気迫のこもったプレーを見せる。
 かつての所属先から愛のある野次も飛んでいた。

 
 
 長崎はこの岡村のシュートで追加点。

 2-0で折り返した長崎は後半も攻撃の手を緩めない。57分には有光の右CKを水永が頭で合わせて3点目となるゴール。53分に主砲・木下を投入。58分にも半田を下げて伊藤をピッチに送り、形勢を逆転すべくびわこもベンチワークに積極性を増す。しかしながら、次に得点を奪ったのも長崎。守勢に回っていたのも束の間、風上を活かした速攻カウンターで最後はエリア前で山城をパスを受けた神崎がシュートを決めて4点目を追加する。

 
 
 
 
 水永、ドンピシャのヘッド炸裂。長崎が3点目。

 
 びわこは司令塔・半田が攻撃の組み立てに苦戦する。

 
 劣勢のびわこ、ベテラン・秦がチームを牽引するが…

 
 小柄ながらそのスピードとテクニックは注目。
 カウンターから得点を導いた長崎の山城。

 4点目を奪った直後に長崎はFW中山を投入。かつてG大阪でプレーしたこの選手を実に久しぶりに見ることとなった。その中山、早速79分に左サイドから強烈なシュートを狙っていくが、わずかにゴール右へ逸れていく。決定機を外したものの活躍の予感は十分。すると、83分には中山がエリア内で倒されて得たPKを自身で蹴るチャンスが到来。残念ながらこれはびわこGK永冨に阻まれたが、89分には右サイドから神崎が放り込んだクロスを相手DFがクリアしたところに中山がフリーで走り込んでシュートを決める。長崎は5-0とリードを広げながらも、90+2分には持留が左サイドから攻め上がって強烈なシュートを叩き込み6-0として試合を終えた。

 
 自分で掴んだPKのチャンスだったが…

 
 長崎・FW中山、まさかのPKミス。

 
 
 しかし、負けじと89分に中山が長崎の5点目をゲット。

 
 左サイドで躍動していた持留もダメ押しの6点目を決める。
 元G大阪ユースで攻撃的サイドバック。

 終わってみれば、長崎が圧巻の得点力で大差をつけた。これで長崎は総得点が52得点と首位・SAGAWAの53点に肉薄。FW有光は得点ランキングを独走する19得点目を決めた。それどころか、この試合では6得点全てが異なる選手によるものという結果に。まさにJFL屈指の得点力。好調のびわこ相手に完封で終わっているところも特筆すべき安定感といえる。
 対するびわこは、ホームで連勝していただけにショックが大きな試合になったかもしれない。特に後半はほとんどチャンスを作れず、中山を倒して畑が、そして終盤には負傷で細貝も欠いてしまい、9人になってしまう展開を強いられた。ただ、布引のスタンドは観衆も616人とそこそこの賑わいを見せており、やはり継続的にホームで試合ができることでつくられる雰囲気は地域リーグのそれとは違うものだなということも実感できた。5月以来のJFL観戦。非常に新鮮で刺激を受けた。

 
 まだJ2ぐらいでは通用しそうな長崎・FW有光。
 19得点で得点ランクトップ。

 
 昨季は高崎の主将としてJFL入替戦を戦っていた岩間。
 長崎へ移籍し、今ではすっかり中心選手に。