脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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和歌山、関西参戦へ -OKFC VS 和歌山-

2011年01月16日 | 脚で語る地域リーグ
 来季の関西リーグ昇格を懸けた関西府県リーグ決勝大会は15日に遂に決勝戦を迎え、大阪府1部リーグ2位のOKFCと和歌山県1部リーグ1位のアルテリーヴォ和歌山が対戦。和歌山が先制するものの、試合は後半終盤にOKFCが追いつき、1-1のままPK戦へ突入。4本目まで全員が決める展開で迎えた5本目。和歌山はGK宮本がOKFCの5人目のキックをセーブし、来季の関西1部リーグ自動昇格を決めた。

 

 寒空の長居第2陸上競技場。週末は非常に寒く天候も荒れるという予報だったが、何とか雨雪を堪えしのぐといった曇天の中で試合は行われた。1次ラウンドを1点差の厳しい試合ながら2連勝で準決勝まで進出したOKFC。昨年の暮れに行われた準決勝ではヤンマー尼崎に2-0で勝利。いよいよ関西リーグ昇格へあと1勝と迫った。一方、1次ラウンドの初戦をPK戦の末、ポルベニルカシハラに勝利した和歌山は、続く伏見蹴球会戦を4-2で勝利。順当に対峙することになったFC大阪との準決勝では、先制しながらも終了間際に追いつかれる展開でPK戦へ。しかし、このPK戦を4-1と制してしぶとく決勝戦まで駒を進めた。大阪在日コリアンで構成される大阪府社会人リーグきっての強豪チームか。将来のJリーグ参入を目指し、2007年の創設以来、地道に県3部リーグから毎年昇格を果たしてきた和歌山か。試合はおよそ400人はあろうかという観衆が見守る中で始まった。

 
 和歌山のDF森が相手選手に執拗な守備。
 負けられない、必勝態勢でぶつかり合う2チーム。

 試合は、前半から一進一退を譲らぬ攻防。しかし、前半の中盤あたりからOKFCから中央とサイドを効果的に使い分けながら攻勢に。24分には左の呉からの折り返しにFW中谷が体を反転させてシュート。これは惜しくも和歌山GK宮本のセーブに遭う。そして、26分にはDF金裕士がエリア手前から思い切りの良いシュートで和歌山を追い詰める。得点にこそ至らなかったが、OKFCの攻撃的なサッカーが目立った。

  
 OKFCの決定機。
 26分、DF金裕士が果敢にシュートを狙っていく。

 準決勝からFW芝崎とGK金丸を欠く布陣ながらも、代役であるGK宮本が好守を披露。加えて、負傷から帰還し、先発に名を連ねたFW上赤坂佳がチームを前線から牽引する和歌山。36分には大きな決定機を得る。右サイドを崩した重松の折り返しを船津がフリーでシュートに持ち込める場面。しかし、シュートをミートできず、戻ってきたDF池端のブロックにも阻まれGKの前に。これが決まっていれば和歌山はもう少し楽な展開に持っていけたという場面だった。

 
 
 和歌山の決定機。
 36分、船津がこの場面を決められず。

 
 ドリブルと的確なパスが印象的だったMF趙栄基。
 OKFCの攻撃を支える中心選手。

 0-0で折り返した後半、先制点は和歌山が奪取した。49分に上赤坂佳がゴール前で冷静さを発揮して巧みにシュートを流し込む。準決勝でも負傷を押しての途中出場し、チームの勝利を導くPK戦最後のキッカーを務めた。今季はリーグで全試合得点をマークしたエースが見せた大仕事。この1点は和歌山の勝利をグッと近づけたかに思えた。

 
 
 県3部時代からチームを支える大黒柱。
 今季リーグ17得点の上赤坂佳が先制点を決める。

 ビハインドを背負ったOKFCは攻撃的な選手を投入して前がかりにシフト。和歌山もこのままでは勝ち切るに不安があるのは否めない。準決勝でも1点差を守り切れず終了間際に追いつかれた。何とか自分たちの支配率を落とさず、追加点を狙っていきたいところだった。
 ところが、OKFCは粘りの攻撃で同点に追いつく。75分に和歌山のミスから相手エリア内までボールを運ぶと、ゴール前の混戦から途中出場の金元気がシュートを決めて同点に追いついた。和歌山はまたしても勝利を直前に試合を振り出しに引き戻される。

 
 金元気が同点弾を決めて沸き立つOKFCイレブン。
 
 そのまま80分間を終える両チーム。延長戦の無いこの大会、試合終了後に即PK戦という酷なレギュレーションだ。そして先攻の和歌山5人全員が決めて迎えたOKFCの5人目、趙尚熙のキックを和歌山GK宮本が見事セーブ。この瞬間、試合は決し、和歌山の関西リーグ自動昇格が決定した。

 
 3試合のPK戦を制して昇格を手にした和歌山。
 足掛け4年。いよいよ関西の舞台に。

 和歌山県勢の関西リーグ参戦は、2007年シーズンに紀北蹴球団が関西2部から和歌山県リーグへ降格して以来となる。しかも本格的に将来のJ参入を狙うチームだ。彼らの昇格で今季の関西リーグはかなり新鮮な風が吹きそう。その戦いぶりは注目。また、1部と2部の隔たりはあるとはいえ、毎年何度も練習試合でスパーリングする奈良クラブにとっても(練習試合での対戦成績はすこぶる悪い…)また大きなライバルチームが関西の舞台に登場したともいえるだろう。和歌山の皆さん、本当におめでとうございます。
 一方、OKFCは23日に西京極で13:00から行われる三菱重工神戸(関西2部7位)との入替戦に臨むこととなった。