歌わない時間

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ロンドン・バロック『パーセル_室内楽作品集』

2011年12月02日 | CD パーセル
Purcell
Chamber Music
London Baroque
HMA 1951327

1989年録音。63分27秒。HMF。ロンドン・バロックがHMFでパーセルを録音したのはこれが初めてだったようです。その後かれらはHMFへ『4声/3声のソナタ集』を録音、さらにBISに『ファンタジア集』を録音しています。それらの後年の録音と重複する曲もあり、いまとなってはこの録音の存在価値はやや薄れてしまったかもしれません。しかし中身の音楽そのものは、作品といい演奏といい一級品です。

ロンドン・バロックのメンバーはIngrid Seifert、Ursula Weiss、Richard Gwilt、Nicholas Logie、Charles Medlam、Lars Ulrik Mortensen。表現は生き生きしていて、音楽がずんずん前へ進んでいく。派手ではないけれど、充実した演奏。室内楽の作曲家としてのパーセルの才能を表現しきって、余すところがない。パーセルの室内楽だけのCDを1枚持っておきたい、という人にはこのCDで決まりでしょう。

結局わたしは、パーセルの室内楽作品はロンドン・バロック一辺倒で聴くことになりました。『ファンタジア集』も『4声/3声のソナタ集』もロンドン・バロックです。手堅く、それでいて聴くものを退屈させない。愉悦感に満ち、なおかつほんのりと色気もあって。つまり、じつに心地よい。

収録曲は、演奏順に以下のとおり。Z.731、Z.807、Z.752、Z.730、Z.750、Z.751、Z.749、Z.748、Z.796、Z.801、Z.771、Z.336(Overture)、Z.772、Z.770。このうち、Z.807、Z.796、Z.801はHMFの『ソナタ集』で再録音。この『室内楽曲集』のできがよかったので、あえて数曲の重複をいとわず『ソナタ集』全曲録音に踏み切ったのではないかとわたしは推測する。またZ.752、Z.730はBISへの『ファンタジア集』で再録音しています。

後半の〈Overture〉と名づけられたZ.771、Z.336、Z.772、Z.770がわたしには耳新しかった。Z.336はオード《Swifter, Isis, Swifter Flow》のほんとの序曲で、Z.770は5楽章、Z.771とZ.772は単一楽章の「序曲」。SonataやPavanが内向きな「ケ」の音楽なのに対して、これら〈Overture〉は「ハレ」の音楽っぽい聴き味がした。

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