歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

テレサ・ベルガンサ『イタリア古典歌曲集』

2009年04月17日 | CD バロック
Teresa Berganza
sings Italian Baroque Arias
Ricardo Requejo
POCG-3031

1978年録音。43分48秒。DG。もうひとり、わたし好みのメジャーな歌い手がいましたよ。テレサ・ベルガンサ。この人の声をはじめて聴いたのはいつだったか、よく憶えてませんが、この人のことも若いころから好きでした。特にこのイタリア古典歌曲は絶品ですな。じつにエレガントで、柑橘系のさわやかさな色気がほのかにただよって。

メジャーな歌曲とそうでもない曲が取り混ぜて歌われています。メジャーなものとしては、カリッシミの"Vittoria, mio cuore"、スカルラッティの"La violette"、カルダーラの"Selve amiche"、ペルゴレージの"Se tu m'ami"など。端正な楷書の歌い方なのに繊細で、学生さんのお手本としてこれ以上のものはありません。それにはじめて聴くような曲も、トラック1のカバッリやトラック14のペルゴレージなど、イタリア・オペラの最初の隆盛を垣間見せてくれる音楽で、なかなか興味深いです。

わたしが広島にいたころ、ベルガンサはまだ現役で、たしか広島でもリサイタルがあったんぢゃなかったかと思う。でも行けなかったんだよなあ。お金がなかったし、もしかしたら月曜か水曜かの練習日と重なってたのかもしれない。

ストラビンスキーの『プルチネッラ』ってバレー音楽がありますが、あの曲のアバド盤にベルガンサは出ていて、そこでも"Se tu m'ami"を歌っています。ストラビンスキーのCDなんてもう二度と買わないと思いますが、この『プルチネッラ』は面白かった。レスピーギの『古風な舞曲とアリア』を面白がれる人なら、おすすめ。