歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ジェシー・ノーマン『コンサート・ライブ』

2009年04月16日 | CD 古典派以後
Händel・Schubert・Schumann
Jessye Norman
Geoffrey Persons
PHCP1161

1987年6月16日ライブ録音。64分16秒。PHILIPS。ジェシー・ノーマン好きなんですよ。(CDはこれしか持ってませんけどね。)あのふかぶかとした、宗教的な気配をたたえた声で、ヘンデルを本格的に歌ってほしかったです。若いころにムーティと『デボラ』を録音したという情報もあるんですが、未確認。しかし彼女はリサイタルの最初によくヘンデルを取りあげていたようで、そのころわたしがNHK-FMで聴いた別のプログラムでも冒頭はヘンデルでした。ここでもヘンデルをまづ2曲、『主よ、あなたに感謝します』という歌曲と『リナルド』の「涙の流れるままに」を歌ってからシューマンを6曲、そしてシューベルトを10曲歌っています。アンコールとしてブラームスとリヒャルト・シュトラウスを1曲づつ、そして黒人霊歌を2曲。

何度か書いたようにわたしがはじめて買ったCDはガーディナーの『メサイア』で、それ以来、30歳すぎまではほとんど古楽のCDしか買わなかったわけですが、これは若いころに買った例外の1枚。それくらいノーマンには心ひかれていたんでしょうねえ。冒頭でヘンデルを歌ってもいるしね。そういや、「カークビーもノーマンも好きなオレって、ふしぎ」とか、思ってましたよわれながら。

ヘンデルの2曲はじつに恰幅のよい大柄な歌で、とくに「涙の流れるままに」はこの曲の演奏としてはちょっと堂々としすぎているかもしれません。しかしノーマンならではの、聴くものの心の奥にとどくような歌いっぷりは、古楽的な演奏とはまた別の意味で、ヘンデルの音楽の本質に迫るものだと思います。

シューマンは今日までこのノーマンの演奏しかしらないんですが、いい曲書く人ですね。シューベルトもこれ以外にはマーティン・ヒルの独唱盤しか聴いてないですよわたし。ここではノーマンで「魔王」が聴けます。

かなわぬ夢におわりましたが、たとえばガーディナーの指揮で『テオドーラ』のタイトル・ロールとか聴いてみたかったなあ。もちろんフィリップスで。いま思い出しましたが、ノーマンはフィリップスにレパードの指揮で『ディドー』を録れてるんですよ。いまは品切れのようだけど、何度か再発されている録音なので、また出たら聴いてみようかしらん。