企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

高速1000円に加えて・・・

2009年03月28日 | 企業の一般的な話
今週末から、ほぼ全国で実現されたと言われる地方高速道路の1000円化。2000円未満区間でも半額と、少なくとも地方では自家用車に限っては半額の恩恵を受けられるようになったようです。
政府としては、お金を持っている人に使ってもらうことが、今の景気情勢では重要と見て施策をを売ったのだと思います。相当な不況ということからすると、まずは、お金があるところから出してもらわなければなりませんからね。
その、出てきたお金が次の消費を生むのかどうか、というのが今回の施策が成功したかどうか?ということを判断する根拠になりえるのだと思います。
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これには二つの考え方があると思います。一つは、旅費交通費で10万円かけることができる家庭が旅行を計画していて、これまでならば高速代金で往復2万円かかっていた、というのが往復2千円ですむことで、浮いた18000円をどこか、これまで考えていなかった場所で使うことになるというケース。これは、これまで高速道路会社に入って終わっていたお金が、民間で更にもう何巡りかすること、になると考えられるのでしょう。
もう一つは、そもそも旅行を考えていなかった人が、今回の施策によって、新たに旅行を考えるケースです。こちらの場合は、もともと想定していなかったこともあり、一人一人は大きな消費こそしないかもしれませんが、ガソリンや旅行地での飲食など、最低必要なことにお金を使う、ということからして、人数さえ動けばかなりの消費が期待できることになります。
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さて、それぞれの効果がどれだけ出るかの試算まではいたしませんが、考えかたとして、効果が期待できそうかどうか?について、以下に見ていきます。
前者の浮いた18000円にあたるものの消費が、別のところでされるかどうか?は、実は定額給付金と同じ構造で、浮いたお金が使われるかどうかは、個々人がどれだけ逼迫していたかどうか?ということになると思います。お金持ちの人ほど、その人にとって無駄な出費をしないのは間違いないので、ちゃっかり自分のポケットに浮いたお金を残すことでしょう。旅先で新たなヒト・モノ・サービスとの出会いがあって消費に結びつくこともあるでしょうが、そうそうあるものでもない。逆にお金が普通にある人は、ポケットに入れてしまう。そして、本当に逼迫している人は、使います(必要だけれど我慢していた消費のために)。
そう考えると、この視点で見れば、旅行をする予定であった人については、逼迫している人ほどに、活用される政策(次の消費を生む消費が達成される)と言えるのではないでしょうか?旅行をする予定があった人においては、相対的にお金に苦しかった人ほど、効果を生むという施策になっていると言えますね。

次に、今回の施策のおかげで、旅行をするようになった人というのがどんな人か?これまたお金持ち、普通、逼迫した人について見ていきます。お金持ちは、する人は以前から旅行はしていたと思います。旅行の趣味がなかった人が、高速道路負担が減ったからといって、旅行を増やすのか?というと、そうはなりにくいと感じます。
次に、普通の人。この人々は地方では車も持っていて、人数も多い。そしてできればお金がかかりにくければ、あれこれ経験してみたいと思っている。だから、もっとも旅行に前向きになるでしょう。お金持ちと異なり、若干混雑しようとも、せっかくの機会なので行く、という判断をする人が少なからずいる。
そして逼迫している人。この人々は、旅行どころではないと思います。もともと必要であった旅行の他に、あらたに車を使って旅行をするか?というと、そうはならないでしょう。
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と考えてみると、高速道路1000円化の政策により直接的に消費が刺激されるのは、前者におけるお金に困っている人の分と、後者の、普通の人の部分ということになると思います。
それが、報道で言われている7000億円とかになるのかどうか?2000万人が、35000円を余計に使えば実現できる数字ですね。さて、どうなることやら?
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ところで、今回の政策の効果は、たぶん、旅行を考えていなかった人が、改めて旅行に行くケースが大きそうに思います。であるならば、高速道路に限ったことが本当によかったのかどうか?と思います。
派遣切りに遭い、他の場所のハロー・ワークにすら行く余裕もない、って人にとっては、車での移動なんてやりようがない。また、将来的に国を支える若者ほど、車を持っていなかったりする。
論理は薄いものの、次のように考えることもできそうです。というのは、若干余裕のある人々に対して、旅先での経験を割安で提供するという政策であることからして、今問題視されている格差の解消どころか、長い目で見て格差を助長するような仕掛けにはなっていないか?と。
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旅行による旅先での消費促進が目的であれば、低所得者でも喜んで旅先でいろいろ経験できるような手段だってあり得るのではないでしょうか?その旅が、常に遠くである必要はないと思うのですよね。
このブログでも随分前に申し上げていたことがあります。国内の需要を、長い目で喚起していくには、人の移動コストを下げるべき、ということです。
国内の、航空運賃、そして新幹線などの移動コストは、狭い国の割には諸外国と比べると高いと感じます。高速バスが発達してきたおかげで、ある程度は安価な移動手段も確保されてきましたが、それでも、手軽に移動するというほどのコストではないですよね。
で、今回の高速1000円化に加えての提案ですが。。
★ 高速バス会社の高速料金負担を国がすべて負う(ただし、その分の値下げはしなければならない)
★ JR在来線は、どこまで行っても3000円。それ以外は半額にする(大人でも子供料金を適用。。今後1年間の期限付きで、大人も子供も同一運賃)ちなみに、現在は東京→名古屋は、乗車券が6090円。秋田→大宮9350円。根室→鹿児島だと28350円です。
★ 新幹線・有料特急の特急券は、自由席に限り、半額にする。
★ 航空券は、ちょっといろいろ問題が出そうなので、今はおいてきます。考えてまた投稿します。
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人の移動が多くなると、経済が活性化するという側面の裏側に、伝染病などが広まりやすいという課題も出てきます。インフルエンザが再流行しているとかの話もあり、移動さえ安くなれば何事も解決、というわけにはいかないですが。。
それでも、今でも多くの人が移動している中、そうした伝染病の流行は地域地域で治っている状態ですから、そのあたりは、これから伝染病のおそれが減ってきたタイミングで実施していけば、と思っています。
コメント
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