あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

谷川俊太郎詩集から

2016-02-22 18:38:59 | 日記
詩集「こころ」朝日新聞出版 から

    ありがとうの深度

              谷川俊太郎

 心ここにあらずで
 ただ口だけ動かすありがとう
 ただ筆だけ滑るありがとう
 心得顔のありがとう

  心のそこからこんこんと
  泉のように湧き出して
  言葉にするのももどかしく
  静かに溢れるありがとう

   気持ちの深度はさまざまだが
   ありがとうの一言に
   ひとりひとりの心すら超えて
   世界の微笑がひそんでいる


ありがとうに込められた心の深度は、さまざまなのかもしれません。
発する側と受け止める側といった立場の違いによっても、その深度の印象は異なるものなのかもしれません。
ただ確かなのは、ありがとうの一言は 発する側にとっても 受け止める側にとっても どこか心地よい響きを持っている言葉であるということ。
その深度に多様さはあっても、ありがとうの言葉の持つ包容力が 双方の心を開かせる働きを持っているからなのかもしれません。

ありがとうと伝えるとき 伝え手の心は開き(相手の好意を受け入れ)、その一言が 相手の心の扉を開くのではないでしょうか。

お互いに開いた心の真ん中で、ありがとうは 微笑んでいるのかもしれません。

そんなありがとうの一言を いつでも どこでも 誰にでも 大切に伝えることのできる 自分でありたいものです。
「ひとりひとりの心すら超えて 世界の微笑がひそんでいる」 ありがとうなのですから。


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