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山種美術館で7/30からスタートした「日本画どうぶつえん」に行ってきました。
夏休みということもあるのでしょう。子供さんも楽しめると思いますが、やはり山種です。作品のレベルが圧倒的に高いのです。
期待どおり、見飽きない作品が多くて満足です。
☆第1章 動物園 ~愛しきものたち~
◯竹内栖鳳「斑猫」
フォルムの描き方は写実なのですが、細かい描写については実物のそれと違う。このバランスから放たれる空気感が他とは別格なのです。
解説に書かれていたこの猫に一目惚れして栖鳳がわざわざ譲ってもらったというエピソードがよい。
絵と交換にしたなんてすごい!
で、その結果がその労力に見合うどころかそれ以上になってることに驚きますね。
こちらは前期のみの展示。
後期は小林古径の「猫」が登場。こちらも楽しみです!
◯麻田辨自「薫風」
このワンコ、圧倒的でした。
塗りと線のバランスが妙なのです。
顔のまわりは境界線がないのに、耳とかの辺りは線で分けちゃってる。
額にないはずのたての線が引かれてて明かに可笑しいのだけど、笑ってしまう可笑しさが妙味を残してくれる。
◯岩橋英遠「双狗」
二匹の白い毛足の長い犬。
真っ赤な花と画面上方に締める黒のバランスがぴたりとはまる。
◯安田靫彦「うさぎ」
やたらとシンプル。稜線の色合いも上品。
うさぎの横顔なのにその表情はどことなくひとの顔のよう。
◯小林古径「牛」
白い牛、黒い牛。安田靫彦のよりもさらにシャープな印象をその線は残すのです。
恐らくその理由は塗りのトーン。
ジリジリと潰した質感が重厚。白いほうはさほどでもないが黒い牛のほうは顕著です。
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◯山口華楊「生」
これはストレートに響きました。
牛舎の中。藁の上の子牛。全体に茶色の締める割合いが多いものの、右の縦長のフレームに映える外の緑のバランスがよい。
◯川合玉堂「猿」
猿の表情が人間くさくてよい。
あと、弦のヘロヘロ描写がなんともよい味わい。
◯川端龍子「華曲」
左隻に蝶を追う獅子、右隻に牡丹。
この獅子がなんとも面妖。蝶はしっかりと写実で描かれているのに、それを追う獅子は空想の生き物。
顔が妙に人間ぽかったり、本来であれば肉球があるであろう部分のフォルムが花を思わせる形だったり。
なんとも違和感があるけどもまとめてしまえるのは龍子の力量ってことでしょう。
☆第2章 鳥類園 ~翼をもつものたち~
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○竹内栖鳳「鴨雛」
この生っぽさはなんだろう?
よほど見ていないと分からないであろうしぐさのリアリティ。
この後ろ足の向きだとかは特にそう感じますね。
◯上村松篁「千鳥」
松篁の作品に惹かれることはそうそうないのですが、これはとてもいい!
キャラになっちゃいそうな鳥さん2羽。
目の表情がかわいい。
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◯山口華楊「木精」
絵画としての楽しみのひとつが画面上のいたるところに視線で追いかけるという行為。
そういう意味でもこの絵はすごく楽しめました。
この根っこのうねうねはついつい見入ってしまいますね。
☆第3章 水族園 ~水の中のいきものたち~
◯川端龍子「黒潮」
トビウオ!この描写が見事。これを昭和7年に描かれているということに驚きます。
トビウオの身体の表面の感じはエアブラシで描くイラストレーションの精密さにも似てて、あまり古い絵だという気がしないのですよね。
◯柴田是真「墨林筆哥」
葉を琵琶に、バチに見立て歌うかえる。
それだけで十分楽しいのに、漆の黒っぽい深みで描かれているということに驚きます。必見!!
☆第4勝 昆虫園 ~小さきものたち~
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粧蛾舞戯
◯速水御舟「昆虫二題 葉陰魔手・粧蛾舞戯」
葉陰魔手は蜘蛛の巣の円形。対する粧蛾舞戯はらせんのうずまきにカラフルな蛾たち。
蛾ってすごくいやなのだけどもこれだけ色とりどりに描かれてしまうと目がひきつけられてしまいますね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/ce/9268fdb45bf9a3576e16bc7fe77a61e3.jpg)
今回はこんなシールが出てたので買っちゃいました。
シールいいですよねー。動物だと一体一体を分離してこういうことも出来るってことで。
今回の展示は前期が7/30~8/21、後期が8/23~9/11。入替となる作品は以下のとおりです。
<前期のみ展示>
竹内栖鳳「斑猫」
速水御舟「昆虫二題 葉陰魔手・粧蛾舞戯」
<後期のみ展示>
小林古径「猫」
速水御舟「炎舞」
小茂田青樹「無花果」
9/11まで。
さすがに山種ですのでいい作品をたくさん持ってます。見終わっていいなと思うのが多いんですよね。