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国立新美術館で開催中のモダン・アート、アメリカンに行ってきました。
今回展示されているのはフィリップス・コレクションからの作品。
3.11以降、こうしてちゃんと貸してくれる海外の美術館に感謝!
本当にありがたいことです。
さて、今回の展示はかなり作品の幅が広くてびっくり。冒頭と終盤ではまるで作風の異なるのです。
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☆エドワード・ヒックス「平和の王国」
どことなくルソーの影響があるような気がしなくもないのですが、もう少し生っぽいような感じがします。
特にこの描かれる動物たちが妙な色気があるんですよ。艶っぽいっていうんでしょうか。
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☆ウィンズロウ・ホーマー「救助に向かう」
中心のかなり近いところに二人の人物。後ろすぐに近づく一人の男。
この構図のバランスがなんとも居心地の悪さと状況のもたらす不安を見事に演出。
斜めの地平も不安定さをアシストしています。
☆ジョン・ヘンリー・トワットマン「エメラルド色の池」
池よりもその淵の地面のあたりの肌色があいまって、なんともぽっかりと空いた口のよう。
描かれたそのものと違う見え方をする面白さ。
☆アレン・タッカー「丘」
筆づかいが変!ぬらぬらとうごめいて、てかてかした色がリズムよく生きている。
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☆ジョージア・オキーフ「ランチョス教会、No2、ニューメキシコ」
教会だというのにぐにゃぐにゃ。
なんだかコンニャクみたい。でも見ようによっては鼻のようにも見えてものすごく妙。
☆ギ・ペーヌ・デュ・ボワ「到着客」
婦人のコートを脱がす紳士。
背景が赤く塗られていて、バックの人物もシルエット。
あくまでこの二人が輝けるために。
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☆チャールズ・シーラー「摩天楼」
ものすごく具象を描いてるのだけどもトリミングとバランスでなんだか独特のたたずまいを見せている。
感想が上手く言えないけども何故だか目にとまる絵なのです。
☆ジェイコブ・ローレンス「大移動シリーズ」
60点の続き物。そのうちの5点を展示。とてもシンプルなのだけども力強く響く独特のタッチ。
特に「No7:かつて自然豊かな田舎暮らしをしていた移住者が、今や産業機械に依存する都市生活へと向かっていた」と「No.15:私刑も行われた」が印象に残りました。
前者は緑と黄色の縦に伸びる草のようなラインで抽象。それだけ見たらとてもこのタイトルだと分からないだろうが、この連作かつタイトルとセットだと違和感ない。
後者は木に掛けられた黒いロープ(タイヤのチューブ?)が首をつるであろうことを想起させ、朴訥なテイストながらもとても重く鈍く痛いのだ。
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☆ジョン・グレアム「ブレア通り」
線と面の境界が面白い。
壁の表現は表面がでこぼこした感じは実際に凹凸があってちょっと他の作品とは違っていました。
色も渋めなれどリズミカル。
☆カール・クロス「夕日を浴びる鹿」
山と沈む日のスケールを無視しちゃってる鹿!
しかも輪郭線の黒がざっくり。カクカクしてて塗りもざっくり。
とても自由に描いててクラクラきちゃいます。あー、楽しい~。
☆アレクサンダー・コールダー「赤い多角形」
?
プレートがあるものの作品がない。視線をうろぷろさせてようやく見つけました。
なんとこれ、モビール。
天井からぶら下がってました。
色彩(単色)とフォルムで見せる作品。一点だけというのがとっておきなデザートみたいで嬉しいです。
☆テオドロス・スタマス「クロノスの生贄」
金属的質感の背景。上部はブルー、下半分は錆色。細い線で描かれているのは人?だろうか。
何やら見てていろいろと解釈をしたくなる作品。
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☆マーク・ロスコ「無題」
この2色で響く。ミニマムで見事な完成度。
見飽きない。
☆フィリップ・ガストン「帰郷」
抽象だけどちゃんとタイトルのイメージ。
にぎにぎしい色の塊。
故郷で待ってる家族、友人たちの嬉しそうな顔。雑多でわくわく、ささやなな祝祭のイメージ。
そして色彩の塊のその周辺の淡い色。これ、すごく幸せのほんわかした感じが出ています。
☆アルマー・ビショフ「二人の人物:後ろ姿と横顔」
塗りと線が素敵。
通常、実物からイメージする人物の色彩にはどうやっても当てはまらない。
色彩を置き換えているという簡単な作業でもない。
でも、この色彩でもやっぱりひとに見える。
金曜の夜間開館で空いてました。ゆっくりじっくりと見られるのは嬉しいです。
12/12まで。