あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

没後400年 特別展 長谷川等伯(東京国立博物館)

2010-03-17 22:56:53 | アート系

没後400年 特別展 長谷川等伯。

最初に訪れたのが2/26(金)の夜間。このときはまだ空いててゆっくうりと見ることが出来ました。

そして、3/11(木)に行ったのが2回目。ところがこの日はどうかしていました。平日の朝一だというのに会場を待つ行列がすでに出来ており、チケットを買う列んみ並んでいる間に開門され列は中へ。わたしが入った時にはもう本館を横目にしたあたりのところまで列が伸びていたのです。

ちょっとこれは尋常ではありません。たしかに日曜美術館やらテレビでの紹介の影響はありますがそれだけではなく、やはりそれだけ見るに値するべきものがここにあるということが周知された結果というように思えます。

ということでなんとか1時間+1時間見てようやく記事に出来るかなあというところにきましたので書きます。

いかんせん来週月曜日までなので今こそ書かねば!


第1章 能登の絵仏師・長谷川信春
十二天像

見出しにあるように絵仏師と聞いて納得です。

等伯が26歳の時、まだ信春と名乗っていた頃の絵なのですが、その技量がうかがい知れます。

前もって雑誌で予習していた台座の部分に描かれてる虎や龍はかなり小さくて単眼鏡が必要です。それでも、かなり厳しいのだけども

問題は入ってすぐの部分なので一番混雑しているコーナーだということ。

気合を入れて朝一で即行くとかでないと厳しいかも。


第2章 転機のとき―上洛、等伯の誕生―

十六羅漢図

大きくくわっと開いた口、なんとも味わいのある羅漢さんたち。

単なる仏画というよりももっと親しみやすい絵としての面白みが発揮されています。

左から2つめに描かれている波が、波濤図の波とおんなじです。

時期によって作風が違うように見えますが、ずっとままの部分もあるということですよね。


牧馬図屏風

この馬、インパクトのあるまるまるとしたフォルム。

鬣のフォルムも面白い。現実のとは違うように思えるのだけれども、そこにいるのは間違いなく馬にしか見えないのです。

しかも、画面にやたらと馬が多いにも関わらず、破綻なく構図に収まってるという見事。


大徳寺三門壁画(参考写真)

参考写真ではありますが、大きさから天井画実物の感じが伝わってきます。

あの龍の実物はいつか見てみたいですね。


第3章 等伯をめぐる人々―肖像画―

千利休像

このコーナーで一番のひとだかり。やはり有名人です。

秀吉の怒りをかって切腹したという歴史を知る我々としてはやはり、この表情にいろないろな情念を想像してしまいます。

鼻や耳はとても特徴があって、おそらく本人の雰囲気も出ているのではないでしょうか。


第4章 桃山謳歌―金碧画―

萩芒図屏風

すすきのラインが激しい。しかもクロスしてて鮮烈な印象を遺す。

絵画だけどデザインの要素、多し。


柳橋水車図屏風

この異様な屏風が当時、人気を博していたということに驚きます。

柳を描く緑のカーブの集合体、うねうねとしたまるで髪のような波。

とにかく一度見たら忘れられないインパクト。

この構成は狩野派では無理ですよね。


波濤図

実は今回の展示で一番うなった作品。

というのもめぼしいところはすでにいろいろなところでスポットが当てられているじゃないですか。

でも、これはそこまですごい作品だという認識がなくて見てしまったら、相当にやばかったです。

これまでにも応挙や抱一の波を見てますが、こんなに気持ちの悪いうねうねは等伯が一番。

波頭がうねうねとした触手のようなグロテスク。フラクタルって気持ちのよいバランスに収まってるのですが、その自然に仕込まれた配分を踏み越えてしまった危うさ。

あおひー的には一番のツボでした。


第5章 信仰のあかし―本法寺と等伯―
仏涅槃図

ただただ圧巻でした。

天井から吊り下げられたその下の部分は床についてしまってまだ足りない。

これを一目見たら、こいつはすごいと誰だって想うでしょう。

それを狙って制作されたのがよくわかります。

いかんせん大きく、そして離れているので動物たちの表情を伺い知るには単眼鏡が必須です。

鹿の悲しそうな顔とか現実にはあり得ないわけなのですが実によくかけている。


第6章 墨の魔術師―水墨画への傾倒―

豊干・寒山拾得・草山水図座屏

表もいいのですが、裏面が秀逸!

というのもかつて出光で見た雪舟の破墨山水図を想起させてくれる水墨。

線とフォルムの面白さ。

まさかこんなところで5代雪舟がぴたりと当てはまるように思えてくるなんて。。。

やはり等伯、ただものではありませんね。


枯木猿猴図(前期のみ。現在は出てません)

後期はこの代わりに竹林猿猴図屏風が出ていますが、枯木猿猴図のほうが圧倒的にかわいい。

一件かわいさに目がいくものの、そのバックがシュール。

木がまるでロープかというくらいにへろへろなせんで描かれている。

このバランスの妙が心地よし。


第7章 松林図の世界

松林図屏風

東博ですでに2回くらいは見ていますが、やはり見ほれてしまいます。

毛羽立った筆の勢いで描かれた逆立った松の葉から東伯の筆さばきを想像させてくれる。

この力強さが爽快感をもたらしてくれているのは間違いありません。

とkろおが全体をみたときには爽快感とは間逆のさびしい感じすら覚えてしまう。

対象に肉薄するのではなく、引きで作成された空間。

これまでの経験地があったからこその境地なのでしょう。

この枯れた感じに思うところはなんでしょうねえ。年をとるとなお近く感じられるような気がしました。

さて、20万人突破で勢いがとどまることを知らない等伯展も来週月曜日3/22までとなります。

3/19(金)~3/22(祝)までは20時まで夜間開館とのこと。

少しでも多くのひとが楽しめますように!

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (テツ)
2010-03-20 09:10:41
豊干・寒山拾得・草山水図座屏!

そうそうあの「裏」が小さいながらもよかったですよね。
私も雪舟の破墨山水図みたいだなあと思いました。
返信する
Unknown (とら)
2010-03-20 11:13:24
こんにちは。後期は混んでいるという情報があり迷いました。
後期に新しく出てくるもののうち今まで観ていないのはもう一枚の猿の絵で、この一枚を見るために行くのか???と思い、結局諦めました。
>後期はこの代わりに竹林猿猴図屏風が出ていますが、枯木猿猴図のほうが圧倒的にかわいい。<という記事を読んで良かったかな???と思ってます。
返信する
はじめまして (三日月湖)
2010-03-20 21:10:52
TB、ありがとうございます。
こちらにコメントするのは初めてですが、
Takさん、tonton3さんのブログでお名前を拝見し、こちらのブログも拝見しておりました。
よろしく、お願いします。
返信する
コメントありがとうございます! (あおひー)
2010-03-20 21:52:32
>テツさん
豊干・寒山拾得・草山水図座屏の裏面は墨だけどもなんだか筆の軌跡の塊が油絵の具で描いたのようなかん字で好きなんですよね。

>とらさん
こんばんは。
個人的な好みもあるかと思いますが、枯木猿猴図のほうがよいですね。
おサルさんのにこにこパワーがたまりません。

にしても後期はえらい混み様で驚きました。

>三日月湖さん
はじめまして。ご来訪ありがとうございます。
こんな感じでアートを、、、あっ、ペンギンとか他もろもろも含めてやっております。

今後ともよろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (はろるど)
2010-03-27 01:28:44
こんばんは。会期末にご堪能されたようですね。
一日平均一万人超ということで対決、琳派あたりは軽く上回ったようです。まさかここまでヒットするとは思いませんでした。京都も大変な人気になりそうですね。

>波濤図 実は今回の展示で一番うなった作品。

同感です。
あの波は光琳や抱一よりもぐっときました。ドラマチックです。
返信する
Unknown (あおひー)
2010-03-27 23:29:39
こんばんは。
出来売れば前期にもう一度訪れたかったです。
それにしてもすごいひとでびっくりしました。

あの波はなんでしょうね。
能登から京へと上った絵師のなしえる技でしょうか。
あのいびつな形が脳裏に焼きついて離れません。
返信する

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