湯種 2
オーストリアのサイト;https://www.tasteoftravel.at/saftiger-rosinenzopf/ では
小麦粉20gを水50mlの中に入れて混ぜます。ダマがないように均一に混ざったら更に水を50ml入れて混ぜます。これを鍋に入れて弱火でボイルします。沸騰しない程度に2-3分間熱します。(これを湯種とします。このサイトの投稿は3. April 2015ですから、日本で湯種法が言われてから4年ばかり経ってからのものです。)
つまり、小麦粉15gに対して水を100ml入れて加熱しています。小麦粉の5倍の量の水を入れているのです。日本の方法とは全く異なります。これにビックリし、しばらくして関心もしました。
上のレシピを読んで 「焼き上がったパンに対する「湯種」効果を、もちもち感とデンプンの老化スピードを弱めるといる2点にのみ焦点を当ててパンを作っている。」 のではとこの時思ったのです。
(上のオーストリアの方法は、あとでわかったことですが、今ではほかのヨーロッパの国々では広く知られている方法で、「Water roux」で検索すると山のように出てきます。)
上の方法(Water roux : ウオーター ルー)はデンプンの中に含まれるペクチンを含む小麦粉の中のたんぱく質(グリアジン、グルテニン、アルブミンの他、βアミラーゼ、プロテアーゼ等)を全て加熱変性させる手法を取っています。( 2-3分間の加熱がそれにあたります )
日本の方法(湯種法)は、小麦粉の中に小麦粉と同量かそれよりも少ない量の熱を入れてかき混ぜています。この方法だと一部の小麦粉は糊化されずに、その中のβアミラーゼが残り糊化した小麦粉を麦芽糖に、一晩かけて変化させます。それで優しい甘みが生まれるのです。しかしこの手法は細い綱を渡るような芸当です。
βアミラーゼは他のタンパク質よりも耐熱性がある ( 72℃ ) のですがこれよりも温度が高いと失活してしまうからです。タンパク質を熱変成させてしこしこ感を出したい反面、温度が高すぎると自然な甘みが得られないというジレンマが生まれます。
温度の高い夏、低い冬にはことのほか気を使わねばならないことでしょう。
ウオーター ルー法はこのジレンマをうまく解決した方法であると思います。
麦芽糖の甘みをウオーター ルー法とは別の方法で、一連のパン作りの中で解決しているのです。
続く
湯だねのパンを調べていてこちらにたどり着いたものです。
オーストリアのサイトを参考にされていますが、湯だねに用いる水(お湯)の量が、文章中には水35mlとお湯40mlとありますがなぜか合計105mlとなっており、どちらが正しい数値なのか教えていただけますか。
突然の訪問でぶしつけでございますが、なにぶん原語が読めないもので、、、、
よろしくお願いします。
原文では小麦粉20gに対して水を50ml入れてダマがないようによくかき混ぜ、さらに水を50ml入れて均一になる混ぜて、火にかけます。(小麦粉の5倍の水を入れていました)
最初はドロッとした感じで糊化してきますが、さらに過熱を続けているとさらっとしたかんじに変わります。わたしはここからさらに1分間弱火で過熱をして完全にでんぷんが破壊されて中からアミロペクチンが出るまで煮ています。口当たりのいいパンに仕上がります。
これから先、パン作りにはいい季節になります、楽しい時間をお送りください。
記事内容が間違いでご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。しかし熱心にご覧いただき嬉しく思っています。記事内容はさっそく訂正させていただきます。お指摘いただきありがとうございました。