「この国のかたち」的こころ

敬愛する司馬遼太郎さんと小沢昭一さんに少しでも近づきたくて、書きなぐってます。

「Doctors」 医師たちの肖像 番外編 HCUナース

2006年11月27日 23時23分50秒 | 人々
 父がHCUに入って2日経ちました。相変わらず高血糖と便秘は治りません。しかし父は元気でした。そして珍しく僕に話しかけてくるのです。「ここの看護婦さんたちはみんなすごくいい人たちだよ。」というのです。なんでもここの看護婦さん(男性も二人ほどいる)の人たちはスタッフ全員が毎日声をかけてくれるそうです。そして全ての方が自分の名前を呼んでくれるというのです。父はこれまでにも脳梗塞や糖尿病で入院経験がありますが、いずれの時も今回のような扱われ方をした経験をもちませんでした。僕は「HCUって言えばICUとか、手術に関わる部署だからそれだけ優秀な看護婦さんたちが選抜されてきているんじゃないの。学歴も専門学校とかじゃなくてさ、静岡県立大学とか、県立短大とか出ているんじゃないの。」といい加減な返事をしておきましたが、それでも父は、妙に納得して「そうだろうなああ。」と頷いていました。
 実際に確かめた訳じゃありませんが確かに学歴も多少は関係あるでしょうね。しかしそれだけでないはないでしょう。HCUはどうやら手術の前後のケアをするセクションらしいですから、それなりの人材も派遣されているかと思います。手術前の入念な検査。術後に一般病棟に移るまでのクッションとして機能している場所かと思っています。そして術前でも術後でも最も繊細な扱いを要するのは手術を受ける患者本人の精神状態かと思われますのでその辺りのケアも心得た上でのことでしょう。
 正確な記憶がないのですがベッド12床に対して看護士が常時8人ぐらいいるのですから、一般病棟からすれば随分贅沢な看護といえるでしょう。みんなが父の名前を覚えてくれたのも個室ばかりで担当ベッド数が極端に少ないせいもあるかと思いますが無邪気な父はその辺りには全く気づいていない様子で、ナースの方々を褒めちぎってます。
 僕はその真相を父に話してやろうかと思いました。しかし手術前の不安な心情を考えると、そう信じていてくれたほうが父のためにはずっと良いと考え、HCUナースの方々には、そのまま父の「エンジェル」でいていただくことにしました。
 僕が病院によっている間に、父の手術に関わるナースさんが挨拶にきてくださいました。この方は一言話せばもうその凄さが分かるような方で、何時間もの手術でも冷静かつ迅速かつ的確に手術のサポート役がつとまるだろうなと思わせてくれるような人でした。知性と感情をコントロールする能力と技術そして精神的なタフさがなければ勤まらないのだろうなと現場に望んだ人みて風圧とともに感じることができました。
 父も「すごい人だなあ」と言っていますが、157センチの父と同じくらいの身長で、まだ30手前の可愛らしいお嬢さんを見ての感想なのですから、人間って言うのは見た目だけで断しちゃあいけませんね。


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