超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

ジュニア新書で読む宗教

2019-11-10 16:14:00 | 無題
岩波ジュニア新書の中村元の「ブッダ物語」を読む。
ほぼ知っている話なので、おさらいした。
仏陀は前世で捨身飼虎などで功徳を積み、藍毘尼(るんびに)で王子として生まれ、
生老病死の問題に悩んで出家して、修行者となって二人の仙人に習い、
無所有処・ここにいてもそれに拘らない境地を学び、
非想非非想処・思いもせず思わないでもない境地を学ぶが満足せず、
6年の間、骨と皮になるまで断食をして、苦行をしても悟れないと気づき、
若い娘スジャータからミルク粥を貰って食べ、菩提樹の下で座禅・瞑想して、
生老病死の苦しみの素は無明であることに気づき、物事に実体はなく、
すべては縁起によって支えられていることに気づき、無明と迷妄を断って
正しく暮らして(八正道)涅槃に至れば、最早生まれ変わって苦しむことはない
と悟った。仏陀は道を説き、老いて死ぬとき、「無常迅速、生死事大」と
言い遺したとのこと。ベックの「仏教」のラリタ・ヴィスタラの記憶も
考慮した。仏教者のかたがたには誠に申し訳ない意訳である。

その他、松尾剛次のジュニア新書の「仏教入門」も読んだ。
これは多くの日本人が知っている内容だと推測する。

逆に意外だったのが山我哲雄のジュニア新書の「キリスト教入門」だった。
イエスは自分が復活するとは思ってもみなかった、とか、教義を限定するのに
パウロの果たした役割は大きいとか、ネストリウス派(景教)は
キリストの人性と神性を分離して考えるとか、
東方正教会は聖霊(神のはたらき)は父なる神から来るとされ、カトリックは聖霊は父とイエスの両方から
来るとされ、両者の意見の隔たりは埋まっていないという。
東方正教会はイコンを拝むがキリストやマリアの立体像は避けられる、
など、キリスト教の各派の違い、特に東方正教会とプロテスタントについて
詳しく説明されていて、たいへん有益だった。
初歩的な話で申し訳ないが、大人の私がおさらいするのにいい新書だった。
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琴似で悲劇エレクトラ観る

2019-11-10 07:13:03 | 無題
昨日、悲劇「エレクトラ」を観てきた。
琴似パトスで風蝕さんのギリシア悲劇「エレクトラ」観劇。
ソフォクレス作の悲劇を山形浩江さんが現代ギリシア語から訳し直している。
古典ギリシア語の台本は字数が少なく、合唱が多いが、現代ギリシア語から
山形さんが訳した台本は、話が詳しくて、きちんと説明されていて、
補足部分がぎっしりと埋められていて、感情の流れが手に取るように
わかる。

シンプルな舞台装置を効果的に使っていた。主人公エレクトラの
演技には何かが乗り憑っていた。

父を殺され、母への復讐を願うエレクトラが共に復讐を果たす弟オレステスと
出遭うまでが丁寧に時間を掛けて描かれていて、弟オレステスが死んだという
嘘の知らせによる嘆き、妹クリュソテミスとの確執、母への憎悪が
余すところなく、全身で表現される。

その感情のうねりに身を任せ、存分に母とその愛人への復讐のカタルシス
が味わえた。
登場人物一人一人の存在感や行動の意味が大きく、小さなことで悩んでいる
日常を一時忘れ、劇の浄化作用で心が晴れる。

人格の豊かな役を俳優が大きく演じ心洗われ
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