超人日記・作文

日々の随筆の合間に、短歌や俳句も登場します。

自作句・霞み草+賢治の句

2024-06-30 00:03:31 | 自作俳句
梅雨の朝ブルグミュラーを聞きにけり
夏の古書モダンアートが八〇円
夏痩せを引き寄せむかな痩身茶
町の奥夏の鵞鳥の騒ぐ声

水田に足生えかけの青蛙
梅雨届く宮沢賢治の全俳句
色斑で夏日を描く印象派
バロックの複旋律や梅雨の風

夏の野や吐息は淡き霞み草
夏暁に耳傾けるアマリリス
中庭の舞に目を引く花石榴
動き出す記憶縁取る額の花

★これ以下、『賢治の全俳句』から賢治作品を数句、紹介します★

電光のかげらう走る月の夜
がまひたすら月に迫りけり
灯に立ちて夏葉の菊のすさまじさ
緑礬(りょくばん、鉱物)をさらにまゐらす(深める)旅の菊
たそがれてなまめく菊のけはひかな
花はみな四方に贈りて菊日和
大根のひくにはおしきしげりかな
湯あがりの肌や羽山に初紅葉
ほんもののセロと電車がおもちゃにて
岩と松峠の上はみぞれのそら
たうたうとかげらうひたす菊の丈
狼星をうかがふ菊の夜更かな

鑑賞
賢治らしさが控えめ。菊の句が多いのは菊花展にちなんでいる。電光、かげらふ、旅、セロ、狼星などの語句に、賢治世界の片鱗が窺える。賢治の本領とは言えないが、その美意識は伝わって来る。






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