望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

16年前の、みんな

2018-07-22 23:42:53 | 演劇・舞台・小劇場

ある芝居の客席で、
なつかしい人に会いました。


昔、客演したミュージカル劇団の方で、
お母さんのように慕って、
本当にお世話になった役者さん。

何年かに1度、
メールのやり取りをする程度で、
まさに「疎遠」の状態であるのに、

それでも、いつも、
心のどこかしらで気になっていた存在。


そんな方に、なんと、
客席でばったり会ったのです!


人間の気持ちって不思議なものですね。

あちらもやっぱり、
「望子さんのことが、いつも気になっててね」

・・・と。


もう、そうなったら、
一気にタイムスリップ!

2人して大興奮で喋ること喋ること!

開演前、休憩時間、終演後。
もう本当に喋り倒しました。



一緒に旅公演に行った思い出話や、
その時の舞台のことや、何やかや。

「旅に行ったとき、
 〇〇さん、64歳っておっしゃってましたよね」

「今ね、80歳」

「えーーーーっ。絶対に見えない!
 っていうか、もう16年も前なんですね~」

「びっくりよね~。
 もう、あっという間」



  本当に、あっという間・・・。



・・・ではあるものの、

その間に、彼女はご主人を亡くし、
劇団も主宰が亡くなって、解散。

16年は間違いなく過ぎているんですね。



そして、思い出話が一段落すると、
次はどうしても、当時の人たちの消息の話に・・・。


「そういえば、Oさん、知ってる?」

「ああ、一緒の舞台には立ってませんが、
 お顔はよーく知っています」

「こないだ、亡くなったのよ」

「えーーーっ」

「Oさんは1人暮らしだったから、
 だんだん動けなくなっちゃったら、
 もう食べるものも作れないでしょ。
 私、家が近いから、食事運んだりしてたんだけど、
 そのうち、急に入院して・・・」

Oさんはベテラン劇団員で、
どちらかというと、脇を固めるタイプ。

でも、なんか、無性に面白かった。


「Dさんは?
 私、Dさんとは、10年くらい前に、
 ある劇団さんでお目にかかってるんですよ。
 ストレートプレイで珍しいなと思ってたんですけど」

Dさんというのは、劇団トップのシンガーで、
大きな体から出る、深い声が本当に素敵で、

彼のソロのシーンになると、
いつも舞台ソデでうっとり聴いていました。


「Dさんはね~。
 今、タクシーの運転手やってるのよ」

「歌・・・は?」

「なかなかねぇ。
 もう舞台からも遠ざかっちゃったから。
 Dさんの歌、よかったけどねぇ」


あ~、そうだよね~。
大きな劇団だったから、舞台だけで食べられた。

でも、そこがなくなったら、
別に食べる道を探さなきゃいけないんだから。


ほかにも、いろいろな人の話を聞きました。

小劇場の役者のように、
バイトしながら、今も舞台に立っている人。

解散した劇団を、少人数でもう一度、
立ち上げようと頑張っている人。




 (あの頃、撮った写真、どこかにあるかな?)




彼女と別れて、ふと、そんなことを思いました。

使い捨てカメラで、ワイワイやりながら撮った写真。

私にとっては、今も16年前で止まったままの、あの人たち。


ま、見つからないだろうな~。
見つかったところで、感傷に浸るだけだしな~。


こんなとき、お酒が飲めたら、
ひとり、グラスを傾けて、サマになるんだけどな。







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