ドルフィンベルベット

高齢馬のケアと徒然日記

『ゆれる』

2016年06月20日 21時50分28秒 | 読書日記
同僚E子さんから借りたハードカバー。
著者は映画監督でもある西川美和氏。
オダギリジョー主演で映画化されたようです。

物語は登場人物の語りで進みます。
なんとなく、湊かなえさんの小説を連想しましたが、ストーリーも面白いし、何と言っても表現力が豊かなのです。
誰でも思うであろう、普通の人間の心理描写の一つ一つに、あぁ、こういう表現もあるのだなぁ…と感心しきり、で一字一句大事に読み進めました。

田舎で小さなガソリンスタンドを経営する頑固で血の気の多い父親、勇。
子供のころから悪がきで勘当同然で家を離れて写真家の道を選んだ次男、猛。
小さな頃から親の言うことをよく聞き、実家をついだ弟思いの長男、稔。
実家のガソリンスタンドで働く兄弟の幼馴染で、猛の元カノ、智恵子。
父親の弟で弁護士の修。

ある日、兄弟と智恵子3人ででかけた渓谷で、智恵子が橋から転落死するのですが、それが事故なのか殺人なのか、実は最後までわかりません。

それぞれの本心が近しい間柄にもかかわらず、お互いにわかっているようでわかっていない、わかっていないようでわかっている、その距離感も面白かったです。
コメント
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