いよいよ東京五輪開催の決定をするIOC総会がアルゼンチンのブエノスアイレスで始まった。東京は、最終プレゼンを実施。マドリード、イスタンブール各開催候補都市と激しいデッドヒートを繰り広げている。後は、IOC委員の投票により、2020年開催都市が決定されるだけである。
2020年夏季五輪・パラリンピックの開催都市に立候補した東京、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市による招致説明(プレゼンテーション)が7日朝(日本時間7日夜)、ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で始まった。
東京は「スポーツの力」で被災地が立ち直りつつあることなど、五輪開催の意義を強調した。IOC委員の投票による開催都市決定は7日夜(日本時間8日早朝)となる。
イスタンブールに続いて登壇した東京は、冒頭の約4分間を使って、高円宮妃久子さまがIOCによる東日本大震災の被災地への支援について「オリンピック関係者の皆様に深い同情の念を表していただいたことは一生忘れません」と謝辞を述べ、「日本の皇族は常にスポーツを支援してきた。IOCはオリンピックムーブメントの精神に基づいて何を夢みたらいいかを教えてくれた」と話された。皇族のIOC総会出席は初めて。
続いて、宮城県気仙沼市出身のパラリンピック走り幅跳び日本代表・佐藤真海選手(31)が立った。「いま私がここにいるのはスポーツに救われたからです」と切り出した佐藤選手は、19歳でがんで足を切断し、絶望した自らの体験を披露。しかし、大学で陸上を始めて自信を取り戻し、「大切なのは自分が持っているもので、自分が失ったものではないと気づいた」と振り返った。
さらに、東日本大震災にも触れ、激励のために大勢のアスリートが1000回近く被災地を訪問したことを紹介。「スポーツの力は夢と笑顔を作ってくれる。夢と希望を与え、つなぎ合わせてくれる。オリンピックのかけがえのない価値を目の当たりにした」と強調した。
東京の不安材料となっている東京電力福島第一原子力発電所の汚染水漏れ問題について、安倍首相が「状況はコントロールされている。大会がきちんと安全に実行されることを約束する」と不安払拭に努めた。
これに先立ち、「イスラム圏初の五輪」を目指すイスタンブールは、登壇したトルコのエルドアン首相が「イスラム圏初の開催は世界へのメッセージになる。過去と未来、二つの大陸を結ぶイスタンブールでぜひ開催したい」と訴えた。また、「秘密兵器」として会場に集めたのが、50人の若きアスリートたち。トルコは人口の50%近くが25歳以下という若い国であることを強調した。