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だったのだが、アクションや演技に感嘆してしまった。勇ましく、ニヒルだが、どこかとぼけていて愛嬌がある俳優、それがヴィン・ディーゼルなのだ。この映画での役どころも大変面白い。ビデオで過激なアクションシーンを演じる俳優が、その腕を買われて、危険な情報部員のエージェントとなっていくのである。ロシアの女性エージェントとの恋も見もの。最高に面白い映画である。
【ストーリー】
チェコ、古色蒼然たる建築物に囲まれた街プラハ。NSA(国家安全保障局)はとあるテログループの内偵のために苦戦を強いられていた。ナイトクラブを拠点とし、元ロシア軍人のリーダー・ヨーギ(マートン・チョーカシュ)の許に結集した一団“アナーキー99”。うまく潜入に成功したと思われたエージェントは悉く水際で暗殺され、既に3人もの手練れが犠牲となっている。業を煮やした安全保障局のアウグスタス・ギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)は奇想天外な策を提案する。死ぬ危険が高いなら、予め使い捨てが可能な戦力を投入すればいい。社会のクズ共の中から、戦闘能力の高い人材を見つけてプラハに送り込もう、というのだ。
そこで目をつけられたひとりに、ザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)がいた。エクストリーム・スポーツのエキスパートとして、法に抵触する危険な競技を行ってはその様子を撮影し、ビデオやインターネットの裏サイトで発表してはその収入で生活している。その日も、テレビゲームの規制法案を打ち出している議員の車を強奪し、高所にある橋の上から突き落とし自分はパラシュートで脱出する模様をリアルタイムで配信する、という大仕事をこなしていたが、アジトに帰るやいなやNSAの部隊に急襲され、麻酔銃の餌食となる。
次に目醒めたとき、彼は食堂にいた。訳も解らず眠気覚ましのコーヒーを注文したところに強盗が現れ、ザンダーにも手をかけようとするが、彼は一切がサル芝居であることを見抜いた上で軽くあしらう。そこに姿を見せたギボンズが「テストは合格だ」と宣告すると、ふたたびザンダーは麻酔銃を撃たれ――今度は、ほかの合格者二名と共に、あろうことかコロンビアの平原に置き去りにされてしまった。
ザンダーたちは瞬く間に魔薬密造業者によって捕えられる。今度も芝居だと高を括っていたザンダーだったが、拷問道具に血の匂いがこびり付いていることから本物だと悟り、慌てて脱出を計る。だがそこへコロンビア政府軍の襲撃があり、仲間はひとりが逃亡、もうひとりは足を撃たれて身動き取れない。ザンダーはバイクを強奪し脱出するが、傷付いた仲間を連れ出すためるに舞い戻ったところで逮捕されてしまう。だが、間もなく到着したギボンズは、ザンダーに対してテストの合格を伝える。とっさの機転と指導力、何より一緒に捕えられた見ず知らずの男を、危険を承知で救出に戻ってきた度胸を認められたのだ。それまで反権力的活動に邁進してきた自分があっさりと国家のために働くことなど出来ない、と拒むザンダーに、ギボンズは刑務所入りといままで通りの危険とスリルに満ち溢れた自由との二者択一を突き付ける。――こうして、型破りの急造シークレット・エージェント“トリプルX”が誕生した。
早速プラハに派遣されたザンダーは、プラハ警察側の協力者であるソーヴァ(リッキー・ミュラー)の身分をヨーギに知らせる、という奇策に加えて、ヨーギの弟コルヤ(ペトル・ヤクル)がエクストリーム・スポーツのヒーローであるザンダーのファンであった事実も奏功して、容易くアナーキー99の内部に潜り込んだ。秘密兵器オタクのエージェント・トビー(マイケル・ルーフ)による発明も応用してヨーギらの信頼とともに情報を獲得するザンダーだったが、ヨーギの恋人イレーナ(アーシア・アルジェント)の彼を見る眼差しはやけに冷たい。
アナーキー99のもうひとつの潜伏先である古城に招かれたザンダーは早朝、隠し金庫に細工をしているイレーナを発見する。秘密の代償として彼女をランチに誘い出したザンダーが身分を明かすと、イレーナは情報の代わりに自由とアメリカでの永住権を要求した――そのとき、イレーナの携帯電話が鳴る。ヨーギの許に密告があり、ザンダーがNSAのスパイであることが知れてしまったのだ!
アクションは、映像によっては陳腐化してしまうことが多いが、この『トリプルX』の映像は、ピカイチである。爆破シーン、雪崩シーン、最後の100万人を死滅させるガスを積んだ小型ジェット船に乗り込むシーンは、カメラワークも最高傑作にして、最高のアングルからの撮影である。観ている者を、興奮の極地に到達させる。「トランスポーター」シリーズのジェイソン・ステイサムも大好きだが、このヴィン・ディーゼルも最高に気に入っている俳優である。