1本のわらしべ

骨肉腫と闘う子供とその家族とともに

携帯電話のこと

2007-10-09 13:11:10 | Weblog
我が家には「子供が携帯をもつのは高校生になってから」という決まりがあります。娘は小学生の頃から「友達が持っているから私も欲しい」と言っては却下されていました。
入院したら不便だろうということで入院の前日に携帯を買いに行きました。
このときばかりは病気に感謝したことでしょう。
病院は完全看護ということで親が夜泊まることは許されませんでした。
抗がん剤の治療中、ぐったりした子を置いて帰るのはつらいものです。
夜中に「気持ち悪くて眠れない。」とメールを送ってきます。「無理に眠らなくていいよ。こうやって話をしよう。」としばらくメールのやり取りをしていると
そのうち「少し眠くなったから寝る。おやすみ。」と送ってきます。
治療中は気持ち悪くて友達がお見舞いに来てくれても会う気力がありません。
副作用で白血球が下がると感染予防のため親でさえ個室から出されます。2、3日は一人で過ごさなければなりません。そんなとき外の世界とつながっているのが携帯電話でした。
友達や家族の誕生日には必ずお祝いメールを送っていました。
私の誕生日に送ってきたメールを少しお見せしましょう。
生きていたらお目玉をくらうでしょうね。

HAPPY BIRTHDAY 祝
○○歳だ!
1年間はあっという間だね。去年からいろんなことがあったね。お父さんが病気になって、うちまで病気になって、大変だったけどやっとここまできたね。あとちょっとだね。みんなのおかげだね。まだまだずうっと迷惑かけるかも知れないけど自分でできる範囲はがんばりたい。頑張るから。頑張れないときは助けてね。

3回の手術が終ったあと、2回抗がん剤の投与を行いましたが病気の進行は止まりませんでした。娘はこの時点で治療は終了し、完治したと信じていました。
あとは床ずれが治りリハビリが進めば退院できると信じていました。
このメールは私の宝物です。

お金のこと

2007-10-09 12:16:51 | Weblog
18歳未満の子供が白血病・骨肉腫などの病気になった場合、県が保護者に代わって医療費を病院に払ってくれます。小児特定疾患医療費といいます。
この制度がなかった頃は、治療に莫大な費用がかかりました。家は借金だらけに
なり病気は治ったけれど家庭が崩れていく、そういう悲しいことが繰り返されない
ためにこの制度がつくられました。
娘の治療費の一例ですが、抗がん剤の投与1ヶ月60万(3割負担。もちろん抗がん剤の種類、投与量により違います)手術1回450万。
この制度がなければ、高額医療費で1部返還されるとしても一度は全額そろえなければなりません。
白血病・小児ガン・骨肉腫の場合、入院費、食費も込みで負担してもらえるので
自己負担はパジャマのレンタル料くらいでした。
親は安心して子供に最先端の治療・薬を受けさせてやれます。
しかし病院の駐車場代、交通費など目に見えない費用はかさみます。
抗がん剤の治療で食欲が落ちるため病院食はほとんど食べません。代わりに食べられる物をとあれこれ揃えていくのですが食べてくれるのはほんの一口。手をつけないこともしばしばです。
「退屈な入院生活を少しでも快適に」と願いテレビ、DVD、ゲーム、本、扇風機etc。亡くなった後、片付けをしながら「よくこんなに揃えたな~」と感心しました。
気功がいいと聞けば九州まで行き、10日間ホテルに泊まり毎日通いました。
話題になったアガリクスの様に「薬ではないがガンに効く栄養食品もひょっとしたら」という気持ちを抑えることは出来ません。
前回述べたように病院への行き来も馬鹿になりません。家で過ごすために介護用のベッドも必要になります。
娘は手術の後、右手しか動かせない状態でしたので身体障害者1級の手帳をもらっていました。そのおかげでベッドの購入、介護タクシー料金にも補助が出たので助かりました。身体障害者手帳をもらうことは自分の障害を認めることです。つらいことですが娘と私は「映画も安く見られるし、愛知万博だってディズニーランドだって待たずに入れるんだ。」と言ってプラスに考えるようにしていました。
つらい治療生活でしたが気持ちはいつも前を向いていました。
小児特定疾患医療費や障害者手帳、保険などについて、りょう君のお父様が詳しく調べて下さっています。是非りょう君のホームページを訪問して下さい。