忘れもしません。2004年の12月24日。
楽しいはずのクリスマスの夜、なんだか暗い顔をして帰ってきた主人。
ケーキを食べて子供を寝かしつけてプレゼントも用意して...。
さて、お話を伺いましょうか?
「今日、検査を受けてきたんだけど、大腸がんだって。それもかなり進行してるから、すぐに精密検査をして手術するって。」
彼は幼くして母親を癌で亡くしているので、いつかは癌になるだろうなと覚悟はしていました。
翌日、近くの大きな病院に行きました。明日から正月休暇という状況の中、検査を無理やり押し込んでもらって、結果は同じ。
ただ、癌患者の手術の順番が混んでいて、手術予定が2月の下旬という。
「げ~っ!進行癌をそんなにほっといていいの?転移しちゃうじゃん。」
でも、癌で腸が塞がってしまっているおじいさんでさえ待たされている状態らしい。公共の病院はどこも今日で外来はおしまい。どうすりゃいいのよ?
家から遠いので対象から外していた「南医療生協病院」。とっさにそこに電話を入れると明日の午前中までやっていて、おまけに1月の頭に手術を入れてくれるというお話。
それから、レントゲン、MRI、CTなど膨大な資料をコピーしてもらい、それをもって生協病院へ。
手術は1月12日。
先生は「お正月はのんびりと美味しい物を食べてください。それから入院しましょ。」と言ってくださいました。
あの頃の大腸ガンの手術は、結構大変でした。一番奥に位置しているので、腸をすべて外に出します。患部を切り取ってから腸を戻すので張り巡らされている神経を傷つけてしまう恐れがあるようです。
その大手術が終って、患部、近くのリンパ組織の検査をして転移の有無がわかるまでの2週間の長かったこと。3ステージまで進んでいましたから。
仕事の合間をぬって、毎日通いましたね。私は決して良い妻ではないのですが、ここで恩を売っておこうっという下心
主人が生還して容態が落ち着いた頃、家族でディズニーランドに行きました。今まで家族で旅行なんかしたことなかったのですが、「再発したらもう行けないね。」ということで奮発しました。
ところがその年の夏、こんどは真ん中の娘です。このブログの主人公です。
骨肉腫という骨の癌。
まったく。神様はどういう神経をしているんだろうと疑いました。
その後の経過はこのブログにあるとおりです。
そして、またもや我が家に...。
こんどは愛犬。
「なんだかよだれが多くなって口臭がきつくなったな~」歯槽膿漏だな。と
考えて獣医さんへ。
「口腔内の腫瘍が原因で顎の骨、歯が解けてなくなっています。」
口を開けると確かに「無秩序に増え続けている肉塊」があります。
娘も最期は口の中に「無秩序に増え続ける肉塊」ができました。でもまだ骨や歯は健在でした。綺麗な顔のまま最期を迎えました。
今思えば、それだけが救いです。
まったく。癌という生き物はたくましい。