1本のわらしべ

骨肉腫と闘う子供とその家族とともに

いよいよ

2009-02-10 01:28:57 | Weblog
「今日」がやってきた。
3度目の「今日」
娘の荷物を整理していて小さな日記帳を見つけた。
そういえば前に見つけていたのだけれど読む勇気がなくて、そのまましまっておいた。
表紙に「かってに見んといてやー!! 見せもんとちゃうでー!!」と書いてある。入院中に書いていたので人目に触れることを気にしていたのだろう。たぶんそのせいで私は読むのを躊躇したんだと思う。

それは中学2年生になった2006年4月から始まっている。
抗がん剤の投与中で、始業式に行けなかった。友達が、彼氏が同じクラスかどうか気にしている。

別の日、家に外泊しているときの事。
私が、あの子のペットのフクロモモンガを外に出しっぱなしにしていて死にかけたことがあった。あの子が気がついて、すぐにコタツに入れて暖かいミルクを飲ませて息を吹き返した。
「よかった。うちは神様からご褒美をもらったと思ってる!!あは!!」

手術の前日。
新しく増えた骨盤の腫瘍のことが言い出せずにいた。
でも手術をすれば隠してはおけない。
仕方なく、先生から話してもらった。そのときのこと。
「何で早くおしえてくれんかな?まじでウザイ。早く教えろってかんじ。もうやだ。」
でもその後で
「みんなが応援しとるから頑ばらな。はやく直さんと友達とも一緒にいっぱい遊べんし、○○とも一緒にいられないし家族との時間も減っちゃうし、いーっぱい不便なことあるし。
すべて「やる気」や!!
すべて「こんじょう」や!!
すべて「負けん気持ち」や!!


2回目の手術のあと。

一人では何もできない。
足がうごかない。
腰がうごかない。
左手が自由にうごかせない。
おしりがいたい。

最後のページに目標が書いてあった。

家に帰って家族5人で食事をすること。
おばあちゃん家に行きたい。
沖縄に行きたい。
クリスマス、お正月は家で過ごす。

こんなことを考えていたんだ。

眠る

2009-02-08 00:43:43 | Weblog
2月8日最後のメール。
「母さん、今日のお昼は
また今年も携帯のメールを確認しました。
この日買って行ったお昼はほとんど手をつけませんでした。
薬のせいでトロトロと、まどろんでいました。部屋は暗いまま。
それでも時々目を覚ましては、苦しそうにしています。
もう眠らせてやったほうが、楽になれていいんじゃないか?
そう思う気持ちと、起きて話していて欲しい気持ちとが交差します。
2月9日午後「ぐっすり眠らせてあげましょう。」先生の指示が出ました。
暗い病室でスヤスヤと眠る娘。
「よかった。これで苦しまずにすむ。」と安心する母と「寂しい。やっぱり起きていて欲しい。」と願うもう一人の母。

娘は眠り続けている。


2月6日のメール

2009-02-06 18:23:22 | Weblog
2年前の2月6日火曜日のメール。時間は22:59。
「母さん、たまごサンド買ってきて」
先週の金曜日から個室に移り、私が泊まっていた。
主人が仕事帰りに病院に寄って娘を看ていてくれる間に、私が家に帰り洗濯をしたり家事を片付けてお風呂に入って、また病院に向かう。
病院に向かう途中にこのメールが入った。明日の朝ごはんである。
あいかわらず病院食は嫌いで手をつけない。この頃のお気に入りは「たまごサンド」。お昼は何を食べたんだっけ?
亡くなる4日前にこんな会話をしていたんだ。
たまごサンドを食べていたんだ。

週末には、もう帰ってこなかったんだ。