夜眠れないとき、あなたのことを思い出す。
いくつもの映像が一気にあふれ出て、息苦しい。
あの時、母さんは、「あなたがどう思っていたのか」なんて考える余裕はなかった。
亡くなるひと月前。
お正月の在宅から戻った次の日、病院のベッドの上で、あなたのおでこに「くぼみ」を見つけた。昨日の夜、別れた時には気付かなかったくぼみ。
日に日にやせ衰えていくあなたの顔。そのくぼみを見て、我慢していた涙がつい出てしまった。
あわてて「トイレに行ってくる」とごまかしたけど、ばれてたかな。
あの時、あなたは、何を考えていたのかな。
「先にトイレに寄って来いよ」かな。
「なに泣いてるのよ~」かな。