1本のわらしべ

骨肉腫と闘う子供とその家族とともに

10年目の2月10日

2016-02-10 08:47:43 | Weblog

その、2月10日は土曜日。

昨夜は、今週始めから、病院に泊まっていた私に代わって主人が付き添っていた。

夜中に、一度、容態が悪くなったが、持ち直したので、朝まで待って、家に連絡があった。

子供たちを起こして、病院へ急いだ。

あかねの容態は落ち着いているようで、スヤスヤと眠っていた。

目はうっすらと開き、角膜が乾いて捲れあがっている。

「大変。起きたときに、目が見えなくなっちゃう。」そんな心配はいらないのに、ガーゼに水を浸みこませて、まぶたの上に載せる。

その後も、あかねの容態は落ち着いていて「ひょっとしたら先生の診立て違いで、あと2、3日はもつんじゃないかしら。」と淡い期待を抱いていた。

病院には、家族が泊まれる部屋があるというので、その部屋を確認するために病室を離れた。

5分もしないうちに友人が息を切らして走ってきた。

顔を一目見て、何が起こっているかすぐにわかった。

私たちが病室に付いた時には、あかねは、また眠っていた。

目を「カッ!」と見開いて、不安そうな表情を見せていたそうだ。

姉と弟の目には、その表情が今も焼き付いている。

夜9時ころ、私がトイレで手を洗っていると、また、友人が呼びに来た。

急いで戻ると、看護士さんが「あかねちゃん、あかねちゃん」と呼びかけていた。

看護士さんが、「あかねちゃん」と呼びかけると、あかねは、はっきりとした声で「はい」と答えたそうだ。

そのあと、あかねの呼吸は止まった。

 

あれから丸9年がたった。今日から10年目に入る。