1本のわらしべ

骨肉腫と闘う子供とその家族とともに

心やさしい営業マン

2021-02-23 13:59:06 | Weblog

今日は彼の話をしましょう。

彼は営業マン。実直で朴訥、おべんちゃらの一つも言えない真面目な営業マン。

営業成績は、決して自慢できるものではなかったけれど、お客さんが困ったときには、いやな顔一つせず対応したので

頼りにしてくれる顧客も少なくなかった。

ある日、本社から「T営業所の立て直しに営業所長として転勤」の辞令があった。

T営業所に行ってみると、顧客管理・勤務体系など問題点が山積みだった。

彼は、小さなことから、手を付けていった。

改革が売り上げに反映されるまでには時間がかかったが、手ごたえはあった。

彼がT営業所に来てから2年が経とうとしていた。

また、本社から「N支店の業績が振るわないので、戻って、建て直せ」との辞令がきた。

T営業所の成績は徐々に回復しつつあったので、あと1年は残って結果を出したかった。取引先との信頼関係、営業所に勤める部下との関係もやっと築き始めたところだったが

彼はN支店に戻った。

N支店の管轄営業所は4つ。

その4営業所をまとめる仕事。

N支店には支店長がいたが、お飾りの支店長で、社長のご機嫌を取るだけの支店長は頼りにはならなかった。

会社は、全国展開の商社で創業100年以上の会社だった。

同族会社で、代々、血族で受け継がれていた。

現社長はワンマンで、周りの諫言を聞く耳を持たなかった。

会社の行く末を案じ、社長に進言した社員は、ことごとく迫害され、地方に飛ばされた。

 

N支店に戻った営業マンは4つの営業所の中心となり、改革に乗り出した、はずだった。

その日、N支店での会議には社長も同席していた。

現場の実情を知らずに的外れな指摘をする社長に対し、営業マンは、各営業所の代表として意見を述べた。

自分の意見を否定された社長は怒り狂った。他の社員は口を固く閉ざし、その提案は営業マン一人の個人的なものとなってしまった。

 

その日以来、営業マンは、「仕事のできない社員」のレッテルを貼られた。

 

 

 

 

 


ふたたび2月10日

2021-02-09 10:10:17 | Weblog

明日で14回目の2月10日。

いつものお花屋さんに、小さなアレンジをお願いするため立ち寄る。

このお店は母さんのお気に入りで、あなたの記念日、友達の発表会、開店祝いなど

お姉ちゃんの結婚式のお花もここで作ってもらった。

家までの道、花を抱えて歩いた。あなたの笑顔を思い出しながら。