わりとがっしりとした体格の女性が、両側に子供の手を握って立っている。
男の子と女の子。2歳から3歳くらい。
あかねの位牌の後ろで眠っている、あなたのおばあちゃんの写真。
病気で亡くなったと聞いていたので、線の細い女性をイメージしていたけど
母さんのように、がっしりした体格の人だったみたいだね。
男の子が唯一覚えているシーンが、病院のベッドの上でお医者様がおっぱいを診察しているところらしい。
きっと乳癌だったんだね。
小さな子供を残して、どれほど心残りだったことか。
亡くなった後も、魂はこの世から離れられなかったと思う。
子供に置いて行かれる親もつらいけど、
子供を置いていかなきゃならない親は、もっとつらかっただろうね。
もうすぐお盆だわ。
まずは玄関ドアにストッパーを付けなきゃ。
エレベーターは籠が小さいので、「足先が当たるかなー」と自分の体で測ってみる。
部屋の中に段差は無いから大丈夫。ただ浴室だけ1段上がっているので入浴は無理かなー。
入浴サービスを頼むしかないか。
リビングは明るくて広いのでベッドも置けるし、何より、気持ちいい。
壁に大きな海の写真をかけよう。今ある写真は小さすぎて、なんか、笑える。
つい、こんなシミュレーションしてしまう。
退院出来たら、こんな部屋を探そうと思っていたことを思い出した。
風が強くて、小さなボートでは幻の島に近づけなかった。
1日目も2日目も駄目だった。
そして3日目は飛行機の時間に間に合わないので断念。
いつものフェリー航路で小浜島を離れ、幻の島をはるか遠くに見て帰路につくはずが...
幻の島が近い!めちゃくちゃ近い。
「えっ?」
いつもの航路ではない。そう確信した。
船を降りるとき船員さんに「今日は航路がいつもと違いましたね。」と聞くと「いいえ、いつもの航路ですよ。」という返事。
何かが船を引っ張って島に近づけてくれた?
ありがとう。
あと1週間です。
今年は天気が良さそうです。
青い空と海と白い砂、はやく会いたいです。
できればサインを届けてください。
どんなサインも見落とさない...
ずっと観たいと思っていた。
終末期在宅医療に関わった女医さんを吉永小百合さんが演じている。
作者は現役のお医者さん。
自分らしく死を迎えるために治療を拒否し続ける芸者さん、脳出血で自宅で治療する胃瘻患者の奥さんと妻を老々介護する夫、
癌が再発した女流棋士、末期のすい臓がんを患う元高級官僚、
そして、8歳で小児がんを患う萌ちゃん。
ある日、萌ちゃんは看護婦さんに
「死ぬって苦しい?」「こわい?」「まほうみたいに、すうっと死ねる?」とたずねる。
看護婦さんは
「苦しくないよ。さわこ先生が、萌ちゃんに特別な魔法をかけてくれるよ。」と答える。
そのあとのシーンでは、さわこ先生が萌ちゃんの両親にこう伝えている。
「この先、萌ちゃんは、ほとんど眠りながら時を過ごすことになります。でも、周りの音や声は聞こえていますから
いくらでも話しかけてあげてください。」
あかねは亡くなる2日前から麻酔で眠っていたよね。あの時、聞こえていたの?
だったら、もっと話しかけとけばよかったな。