「あぁ、いよいよ稲刈が始まったね。」
「そうね。本当に、猫の手も借りたいくらい忙しいワ!」
「いや、それを言うなら『タヌキの手も』だろ?
ほら、ちゃんとマルダヌキも手伝ってくれてるんだから。」
「なになに? アタシを呼んだのネ?」
おっっ!
「あ、マルダヌキ。いや・・・な、なんでもないんだよ。・・・」
「隠したって駄目ヨ。今、タヌキの手も借りたいって言ったわね。
それじゃあ、ひとつアタシが更に力になってあげる!」
「えっ? どういうことだい?」
「ふっ・・・。実は昔学校で、分身の術を習ったのヨ。
これがあれば、猫家の小さな田んぼなんて、お茶の子さいさいヨッ!」
「ええっ?」
「じゃあ、いくわよ!
おおっっ!!!
・・・・・・・・・・
「ねえ、ミーコ。・・・マルダヌキが増えたのはいいけれど・・・」
「うん・・・なんだか、前よりどうしようもなくなったみたい・・・」
「マルダヌキ物語」メニュー
これが、孫悟空くらいの分身術だったら・・・
幸いながらマルダヌキは勉強嫌いだったからこの程度で済んだんですね。
このタヌキ三分身、実はこれから先、お終いの方で活躍する場面もあるんですよ。
タヌキといえば「化かす」と言われますが、これはマルダヌキの数少ない「タヌキっぽい」隠し技のひとつなんですよ。