森見登美彦さんの名前が頭に浮かんだ。
特に理由はない。
取り敢えず氏のブログに飛んでみると、ファンタージーノベル大賞の選考委員をされたことが記されている。
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日本ファンタジーノベル大賞が復活した。
その記念すべき最初の受賞作がこちらである。
「火炎を噴く巨大な信楽焼きの狸を連れた女性が山奥の町を滅ぼしにやってくる」という冒頭はワケのわからないものであり、登美彦氏は選考委員として応募原稿を読み始めたとき「これは本当に面白くなるのだろうか?」と不安に思ったのであるが、読み進めるうちにそんな不安は生駒山の彼方へ飛んでいった。
ワケのわからぬ話がワケのわからぬままにリアルに感じられてきて、読み終えたあとは切ないような哀しいような不気味なような、なんともいえない気持ちになってしまう。選考委員全員一致で決まった受賞作である。どうか読んでいただきたい。
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何となく気になってポチることにした。
シリアスな日常に心身を削る毎日を過ごす身として(妄想)たまにはこういう訳の分からなさそうなファンタジーの世界に身を投じるのも悪くない。
ということで読み始めた本であるが、たしかになんとも言えない気持ちになった…
昔話で伝えられていた狸が信楽焼の姿でやってきて、「あ、これから一ヶ月後に村を焼き尽くします。逃げても無駄です」ってなったらどうだろう。
死が迫るという現状に何一つ抵抗することなく受け入れる諦めのようなそうでもないような不思議な空気。
そうじゃないと抵抗する人の狂気じみた焦りの心境。起こす行動の過激さにいつの間にか理解を示してしまう違和感。
村人よろしく感情の起伏がないようなでもただのっぺりしてるだけではない独特な雰囲気が興味深かった。