あびこ雅浩の日記

仙台市議会議員あびこ雅浩の活動日記。

全国地方議員セミナーを受講しました。

2012-01-16 | 国際・政治

市町村議員特別セミナーを千葉市美浜区にある市町村アカデミーにて、受講しました。
全国各地、北は北海道札幌市から南は鹿児島日置市までの324名120116scenery01が参加。仙台市議会からは、私と岡本あき子市議、小野寺淳一市議が参加。2日間にわたり、「地方議会の役割と改革の行方」分科会「高齢社会における福祉の今後」「これからの政治の行方」「これからの日本経済の行方」を受講。

東大名誉教授 大森*わたる氏「地方議会の役割と改革の行方」

地方政治のあり方と役目について、議員自らよりも行政学者が引っ張っているのも日本的な政治個性。
議員の姿勢も今昔、今は勉強するようになり、時代とともにその立場も変わっているものと思う。議員と行政当局・役人との関係性位置づけも問われ直されるこれから。
行政学的に議員の処遇待遇を考えることは誤り。地方自治法202条と203条の抜本的な改正が必要でないか。議員の職務規定がない。
議会でなにも発言せずとも実力あるとされるベテラン議員が存在してきた今まで。

地方自治法上の議会規定の改正に関して
平成18年に改正した。臨時会の招集権付与を首長から議長に移した。
常任委員会の複数所属を可能とした。政務調査費の支給についての規定を、学識経験者に調査を委ねることができるようになった。調査力の向上にむけて。議員同士の議論が極めて希薄な議会。行政当局者なければ、委員会の開催もできない現状。本会議上の主は、議員であり、当局は外部者であるが、なぜ当局側が主のようにひな壇に着席しているのか。
行政マンが最も嫌うのは個別案件の口利き議員の存在。

第197条専決処分事項についての規定を設けた。専決処分の乱用抑止と通年議会の考え方。傍聴人への規定を取り締まる発想から転換した。
議会事務局職員の職務は庶務一般の扱いから、議会活動の調査力の補佐役へ。
平成20年の改正では203条の改正あり。議員と非常勤職員、一般職員の区別。
議員は非常勤的扱いながら、期末手当は出るが退職金は出ない矛盾。
同じ公選の立場ながら首長に退職金がでる疑問。

立場不安定な議員でありながら、二元代表制の一翼を担う不可欠な存在の矛盾
議員の立場はボランティアでいいへの反論。無報酬であることは無責任化し、二元代表制を担う責務が負えなくなる。ボランティアで議員活動ができるだけの特定の所得階級者や特定団体組織の代表者で議会が構成されてしまう恐れあり。
「公選職」という新たな公的専門職としての位置づけを築くべきでないか。

議員定数のあり方について、
定数の根拠とは何か、住民数への議員割の妥当性は説明できない。少なければいいとの論と議員代表制の担保、合議体としての規模の妥当性とは何か。これらを、一部住民の論調に押されることなく、議員自らが有権者に説いていく姿勢が議会側に必要。

地方自治法の改正について、(阿久根市長の暴走を反面教師として)
政権交代後に、地方制度調査会を停止した。片山総務大臣の下で、住民自治を強化する方向性を打ち出した。管政権の交代時に、調査会を復活(第三十次)させることになり、次期国会に提出予定。そのポイントは、・通年議会制(執行機関の出席は考慮)。・地方議会臨時議会の招集権を議長に。・専決処分事項で議会が不承認した事項への対応。・住民の直接請求の必要署名数に関しての見直し・地方税と直接請求制度のあり方への見直し・議会の議決に対して別途、住民投票をおこなう制度の創設については継続検討とする。

その他、通常国会に提案予定の法案として、全国地方自治体宝くじは、小額多数な懸賞に改正する案あり。

高橋紘士氏「高齢社会における福祉の今後」

025地域包括ケア、住宅政策について、北欧諸国の福祉国家像は高齢化率20%を想定しているにすぎない。しかし、日本国の急速な超高齢化と、脅威なのは中国の2020年問題、高齢者2億人の大国に。
大震災の期に、超高齢社会の進行と人口減少社会への転換点の期の符合。震災の歴史的意義
成長経済を前提とした福祉国家像からの脱却と、未曾有の新たな時代(未踏高齢社会)のケアシステム構築が急務。

日本の総人口は、2100年に向かい高齢化率は40%で4771万人に超縮小する日本。2050年からの50年間で半減(75歳以上が2000万超に)する国。高齢人口の年齢層別では、年齢が高いほど増加率が高い傾向が続くこれからの高齢者福祉問題。
福祉先進国と称される国々の実績の比でない、日本、中国、韓国などアジア諸国の急進な超高齢化の進行。現実の進行の中でいかに理想も描き続けられるかが問われるこれから。
大震災被災後に、日本社会に与えた強いインパクトとして福祉のあり方。成功があったから失敗した歴史的検証事例あり。

政権交代後に財政規律が緩んだ国の政治と福祉国家の将来像、税収額より公債額が多い財政状況の深刻さ。子育て手当ては将来に3倍返しを子供たちに求める制度!
2005年から2050年までの間に、国土の居住地域の60%以上で、人口が半分以下になる。地域内の相互扶助力が一気に低下していく恐れ。地域における医療をはじめとした生活関連サービスの確保が困難化し、住民一人あたりの行政コストは増加する。
所有者不明の土地も増加。
介護保険の料金はどんどん高くなるシステムやむなし。特養ホームに多床室があるのは日本の福祉の貧困の象徴の論。

地域包括ケアシステムの構築。中学校区を基本単位とする様々な生活支援サービス(介護、医療、予防、住まい)の提供体制。
介護付き高齢者向け賃貸住宅の新たな展開。地域福祉や共助の場としての高齢者向け住まいの設置。
地域共生ケアの拠点としての地域内居住系施設の展開の事例あり。
支援付き住まい(コレクティブハウス)の提案事例が全国で始まっている。自立と支援のほどよい関係性。
加療後病院から地域に帰ることができた入院患者が地域生活に移行したことによる地域経済への波及効果は大きい。介護関連の雇用創出、不動産業への効果、小売り売り上げ増、その他。

地域経済を介護、医療、年金給付のお金の総額で計る視点が大切。福祉は自治体の負担増になるとの発想から、福祉は地域経済を活性化させるとする視座。
高齢者人口数は負担者増でなく、有効な経済資源として社会保障給付を地域循環させること。社会的包摂化を進めること。

世界の最先端を行く、日本の超高齢社会。その社会から生まれるもの築かれるものは、中国、韓国をはじめ、その姿(社会システム)は世界の先端モデルになるものであり、富を生むビジネスモデルになるものだと思う。

一方、大森先生の著は広く知られているところ。中央集権から地方分権と言われて久しく、国での協議もやっと熱を帯びてきた今こそ、地方自治法の改正にも地方議会自らが積極的に係わっていくべきことを自覚しなければならない。


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