ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

15歳の東京大空襲   半藤一利

2018-09-08 21:33:17 | Book




2010年2月10日初版第一刷発行 ちくまプリマ―新書129 筑摩書房刊

半藤一利氏は、1930年東京向島生まれ。終戦時15歳ということになる。
のっけから申し訳ございませんが、半藤氏の少年期のニックネームは「玄米」だったそうです。なるほど……。ごめんなさいでーーす。

東京大空襲をもろに体験し、それから疎開体験。なんとか生き抜いた少年の記録と共に、その時期の東京の悲惨な状況と、戦争が何をもたらしたかについて、明確に書かれています。膨大な犠牲者が命を落としたのですが、半藤氏は生き残り、こうして伝言を書いて下さいました。

以下、引用します。

『若ものたちが君たちこそ国の宝だとおだてられ、もちあげられるときは、国のリーダーたちが何事か企んでいるときで、「今どきの若いものは」と、若ものの値段が安いときほど平和なのであるな、とつくづくいまは思うわけです。』

『人間というのはいつ、どういう死に方をするやらわかりません。こういう衝撃的な死をいくつも見ているのに、ひどいもので、無感動そのもの。神経も感覚もすっかり鈍麻し麻痺しきっている。死んだ人のことにいちいち思いを致すことはなくなっています。すでに書きましたが、くり返します。いくらでも非人間的になれる、それがおっかないところなのです。戦争というものの。』

『ものすごい危険ななかにあって、それに負けずに一瞬一瞬に賭けた懸命な生き方、それは紙一重で、勇気や立派さともなり、そのまま陶酔しやすい危険につながっています。危険をものともせずに生きぬき、そしてそのとき腹の底から感じた生甲斐のようなものは、戦争そのもののあやしげな魔力と結びつきやすいようです。戦争体験を語りつぐ、と簡単にいいますが、そのことのむずかしさはここにあると思っています。』

東京下町の半藤家の家族のあり方も大変魅力的でありました。家族の困難な時に見事な判断を下す、お父上が特に。この親にしてこの子あり、でした。
書きたいことはたくさんありますが、この辺で。

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