2015年元旦の朝日新聞より。遅くなりましたがここに記しておきます。
大江健三郎が示した「渡辺一夫」の言葉です。
《「狂氣」なしでは偉大な事業はなしとげられない、と申す人々も居られます。
それはうそであります。「狂氣」によってなされた事業は、必ず荒廃と犠牲を伴います。
真に偉大な事業は、「狂氣」に捕えられやすい人間であることを人一倍自覚した人間的な人間によって、誠実に執拗に地道になされるものです。》
さらに、歴史家のジョン・W・ダワーの言葉を掲載しておきます。
《うちひしがれた日本(注・1945年)は、このような凄まじい状況のなかで、
再出発の難行に立向かい、新憲法に具体化された「平和とデモクラシー」の理想に、
社会のあらゆる層の人びとが奮いたったのでした。
政治やイデオロギーの衝突は戦後日本にいつもありました。
しかし、実に多くの日本人が豊かで平和を愛する社会を懸命に創りあげた、
その草の根の回復力、規律、反戦の理想は、どれほど称賛してもしつくせるものではありません。