eつれづれ管理者(66kV特高変電所、技術者)

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高圧1線断で単相送電中

2015年02月17日 | eつれづれ
先の電力側配電線に積もった冠雪は2月7日に撮影したもの...漸く2ヶ月も過ぎてから重い腰を上げ??木々の伐採を決行したら案の定...心配していた事が。
冠雪の重さは約1トン程度ある様だ。

電力受電柱のアームが曲がってしまったが支線で止まった。
曲がった原因を推測すると9日に立木を伐採したので冠雪は電線上に乗るだけとなり全重量が、かかった状態で業者は帰宅。その後の晴天で暖かくなり冠雪は部分的に落下し、このため左右のバランス重量が均等で無くなり片一方に冠雪が残り、その重さでアーム支持が移動したものと思われるが偶然にも、同じ系統の配電柱3本行った奥にあるH柱上も冠雪が落下し、この場所は高圧線1本が断線した。道路閉鎖している事もあり、かんじきトレッキングで目視の保守点検しないとダメの様だが、雪崩れに遭遇する可能性があるので難解だ。

片方の高圧線は電話小柱に接触してしまった。事業所より電力配電線側なので近くの電力営業所にも直ぐ連絡。

事業所よりの電話はチラチラ後、停電...但し一部は点いている話だが動力は停止したとワケの判らない話で取りあえず右側のキュービクル扉を開けて変圧器音と電圧計指示を連絡してもらう。電圧も正規でなく変圧器音もかなりなので低圧ブレーカ全部、開放を指示して近くの出入り工事業者に連絡を入れ現場へ急行してもらう。

出入り業者は現場到着後に真空遮断器を開放していたが高圧気中負荷開閉器(PAS)の方向性SOG制御装置Vo(零相電圧表示灯)は点灯中...1線断線で三相のバランス崩れPASのZPDより零相電圧発生したか、これで自家用側の地絡事故でIo地絡電流が流れた場合、PASは開放するが、電源側地絡の場合は電力変電所の地絡過電圧継電器(OVGR)にて動作、停電となる。

☆真偽の程は、わからないがネットより☆
1線完全地絡時の零相電圧は3,810Vですが、盤取付の零相電圧計は6,600Vを指示するように規格で定まっています。よって、零相電圧計の指示により不揃い状態の残留電圧が解ります。
送 電 中:50V 0.76%の残留電圧
充電状態:200V 3.03%の残留電圧
一般的な6.6kV配電用変電所は非接地系統になっております。全くの非接地状態では中性点が不安定になり共振等がおきますのでGPT3次に制限抵抗を接続しております。
3次の制限抵抗により見かけ上GPT1次中性点に高抵抗が接続された状態となり25Ωの制限抵抗を設置した場合は10kΩと非常に大きな値の高抵抗接地系統と考えることが出来ます。(GPT1次-3次の巻数比:60と仮定)
常時発生する零相電圧を残留電圧と言いますが、この電圧は各相の対地静電容量がアンバランスになると発生します。アンバランスの原因として単相機器接続(単相変圧器、V結線機器)、単相配電線などいろいろな要因があります。
充電状態(送電していない状態)で200Vの指示とのことですが小さな対地静電容量しかない状態ではわずかなアンバランスで残留電圧が出やすくなります。
送電状態では、全体の対地静電容量が大きくなりますのでアンバランスが出にくくなりますので残留電圧が50Vと小さくなります。
電力会社においては残留電圧を低減させるために単相変圧器を設置する場合は各相がバランスするように計画します。また単相配電線を設置した箇所は1相の対地静電容量が少なくなりますので補償用のコンデンサを対地間(柱上)に設置する場合があります。
私が経験した中での配電系統では、山間部の広域に配電する箇所で5%以上の残留電圧が発生していました。(30年くらい前)現在ではかなり改善されて2%程度となっています。
特高需要家の6.6kV系統もデパート、ショッピングセンターなどは単相変圧器の比率が大きくなりますのでバランス調整を考えないと残留電圧を発生させてしまいます。

電力社員が雪をかき分け配電線側の1線断線ヶ所を発見した(赤線の奥側)...これで単相となった原因判明したが先のアーム曲がりとは関係なく重い雪の落下で断線した様だ。午後2時から停電して午後9時までかかった多忙の疲れた半日だった。
当初、電力社員に聞いたら変電所は何も異常無く送っていた話でVo警報は鳴動していない。
この事故で救われたのは土日でなく月曜日の操業時に発生した事で事業所内で概ね直ぐ対応したが休日だった場合、24時間運転している電動機、他の弱電機器が欠相運転で多くのダメージを被る所だったが今回はサーマルリレー復帰、漏電ブレーカ再投入だけで済んだ。後で聞いたら井戸ポンプのマグネットスイッチコイル焼損が1ヶ所あった様だ。
24時間絶縁監視装置も停電検知しなかったのでは防ぎようが無い現実...。

冬期間は閉鎖する道路なので道は無し、積雪は2m程度かトボトボとズボッと足をとられながら進む以外なし...業者はかんじきを履きスイスイ。

満天の星空、改修作業だがとても寒い。