8/10(木) 13:55たまひよONLINE
妊娠初期ママは、日常生活のいろいろなシーンで「おなかに赤ちゃんがいるのに、これってやっていいのかな? ダメなのかな?」「これって妊娠中どうなの?」と気になることがあるはず。そんな疑問の数々を帝京大学医学部附属病院、総合周産期母子医療センター長、笹森幸文先生に聞きました。今回は、日常生活の気がかり「お出かけ」に関するQ&Aです。
【産婦人科医】笹森幸文先生
【Q1】妊娠したら、あまり外出しないほうがいいの?
妊娠したからといって、外出を控える必要はありません。ただし、妊娠初期は体調が変化しやすい時期ですし、感染症の心配も。妊娠経過が順調であっても、無理のない範囲で出かけるようにしましょう
【Q2】外出するとつい歩きすぎてしまいますが、よくないでしょうか?
おなかが張ったり、出血があったりするのでなければ、多少歩きすぎても問題ありません。慣れている距離で、ちょっと歩きすぎて疲れた、という程度であれば大丈夫です。
【Q3】自転車は、絶対にNG?
妊娠中は集中力が落ちたり、反射神経が鈍くなったりしがち。また、おなかが徐々に大きくなると、バランスをとりづらく、思わぬ事故につながる場合も。自転車は基本的には控えてほしいのですが、どうしてもの場合は、速度を落として、余裕を持って、慣れた道を走りましょう。
【Q4】スクーターはNG?
妊娠中は反射神経が鈍くなります。スクーターやバイクは転倒の恐れがあり、とても危険です。運転しないようにしましょう。
【Q5】車の運転はしてもいい?
妊娠中は、反射神経が鈍くなるので、思わぬ事故につながる可能性も。眠けが強い、だるいなど、体調がすぐれないときはとくに危険なので、運転は控えてください。
【Q6】車のシートベルトは妊娠してもすべき?
おなかの赤ちゃんを守る意味でも、妊娠中もシートベルトをつけましょう。正しくつければ、おなかを圧迫することもありません。
【Q7】車に乗っているときの振動は、赤ちゃんに影響する?
車の振動が赤ちゃんに影響することはありません。赤ちゃんは子宮の中で羊よう水すいに包まれていて、これが外の衝撃から守る役割をしています。とはいえ、安全のためにシートベルトは着用しましょう。
【Q8】満員電車のラッシュは 避けたほうがいい?
ラッシュそのものが悪影響を及ぼすことはありませんが、妊娠初期はつわりで、においに敏感になり、気分が悪くなりがちです。できれば避けたほうがいいでしょう。おなかの圧迫や転倒にも注意して。
【Q9】新幹線での長距離移動はOK?
基本的に問題ありませんが、長時間同じ姿勢で座っていると、血栓症を起こす恐れが。意識的に手足を動かすようにし、小まめに水分をとって、トイレに行くようにしましょう。
【Q10】飛行機に乗ってもいい?
妊娠経過や体調に問題がなければ、乗っても大丈夫ですが、妊娠中は血栓症を起こしやすい状態。搭乗中は血栓ができるのを防ぐために手足を動かすようにしましょう。また、小まめに水分補給し、トイレに立つように心がけて。
【Q11】船の揺れは赤ちゃんによくない?
船の揺れ自体が赤ちゃんや妊娠経過に影響を及ぼすことはありません。ただしつわりの時期は、気分が悪くなる可能性があります。乗らずに済むならば、ほかの交通機関を利用してください。
【Q12】夜行バスに乗ってもいい?
長時間、同じ姿勢で座っていると、血液の循環が悪くなり、血栓症を起こす心配が出てきます。夜行バスであればトイレがついているタイプを選び、乗車する際は水分をしっかりとって、定期的にトイレに行くなどして体を動かして。念のため、夜行バスを利用する前は主治医に相談するようにしましょう。
【Q13】温泉に入ってもいい?
基本的には問題ないでしょう。ただし、妊娠中は肌が敏感になる人もいるので、刺激を感じたら短めに。また長湯でのぼせたり、転倒したりしないように注意しましょう。
【Q14】温泉地のガスが気になるけれど、行っていい?
硫黄のにおいのことかと思いますが、それ自体が赤ちゃんや妊娠経過に影響することはありません。
【Q15】スーパー銭湯などで、雑菌が腟ちつに入ることは?
腟内は常在菌の働きで、悪い菌の繁殖を防いでいます。雑菌が腟に入る心配を考えなくても大丈夫ですが、信頼できる、清潔な施設を選ぶようにしましょう。
【Q16】サウナは低温サウナでも入らないほうがいい?
高温サウナは、ママやおなかの赤ちゃんの心臓に負担がかかったり、のぼせて気分が悪くなったりする可能性があるのでおすすめできません。低温だとしても、大量に汗をかくので、脱水の恐れがあります。妊娠中にあえて入る必要はないと思います。
【Q17】砂蒸しぶろは入らないほうがいい?
湯船につかるのと違い、砂蒸しぶろは砂がかかっている間は、体も動かせず、水も飲めない状態です。汗をかいて、水分の補給ができないと脱水症状になる恐れがあるので、妊娠中はやめておきましょう。
【Q18】できるだけ、混雑するスポットは避けるべき?
妊娠初期は妊婦と気づかれにくく、おなかにぶつかられる場合もあり、気になるもの。なるべく混雑する場所は避けて、すいている時間に外出するなどの工夫を。感染症対策の観点からも混雑する場所は×。
【Q19】遊園地の乗り物はダメ?
観覧車のような乗り物なら問題ありませんが、施設側で妊娠中はNGとしている乗り物はやめましょう。とくに注意がなくても、衝撃を伴うものや速度の速いものなどは避けて。
【Q20】動物園や水族館へ行ってもいい?
動物園ではおりの外を歩いたり、水族館では水槽を見て回ったりするだけなので、問題ありません。時間に余裕を持ってゆっくり回りましょう。おなかが張ったら休憩を。
【Q21】動物園の小動物触れ合いコーナーで遊んじゃダメ?
トキソプラズマは主にネコの便を介して感染しますが、小動物にも思わぬ雑菌があるかもしれないので、触らないほうが無難でしょう。もし触ったら、手をよく洗うようにしてください。
【Q22】海外旅行の予定があるけれど、やめたほうがいい?
通常でも妊娠中の海外旅行はおすすめできませんが、まだ感染症が流行している国は避けましょう。
【Q23】好きなアーティストのコンサートに行ってもいい?
感染症の流行時期は控えておきましょう。感染症の流行が落ち着き、妊娠経過や体調に問題がなければ行っても。ただし、立ちっぱなしを避け、休息をとるなど十分注意が必要です。
【Q24】お葬式に列席しちゃダメ?
妊婦が葬儀に出るのはよくないというのは、昔からいわれている迷信。近親者の場合や必要性が高い場合は列席しても問題はありません。ただし無理のないよう気をつけ、しっかり感染症対策を。
【Q25】授かり婚です。妊娠中に結婚式を挙げてもいい?
感染症の流行が落ち着いたら、感染対策をしっかりして行いましょう。平常時ならOK。
参考/『初めてのたまごクラブ』2023年春号
- 記事の内容は2023年5月の情報で、現在と異なる場合があります。
監修者
【産婦人科医】笹森幸文 先生
PROFILE:帝京大学医学部附属病院 産婦人科教授、総合周産期母子医療センター長
帝京大学医学部卒業。同大学産婦人科講師などを経て、2021年より現職。医学生の指導やハイリスク妊婦さんの診療を担当。