こんな夢だった

　昨日、妻に悪態をついた。
　死の間際、妹二人に手紙メモを残したのに、夫には別れの言葉を置いていく余裕もなく逝ってしまった。そう思って寝たら、今朝方、枝葉はいっぱいあるけれど、こんな夢を見た。

　朝、仕事で家を出ようとしたら、妻が、私の口が臭っているから歯を磨いて、と言う。歯磨きするにも時間が迫っているのだが、見知らぬ猫が体をくねらせてくっついてくるし、妻が顔を近づけて監視している。
　妻は、歯磨きオーケー。車の荷台のゴルフバッグを積み替えて、と言う。ゴルフバッグなんて２０年も前に捨てたのに。そうだ、今週車を１台廃車する予定だった。妻は、甥のＹといっしょに、その車？で出かける様子なのだ。
　すると、彼女は不意に、私の体をしっかり抱きしめた。びっくりした私は、若い頃の記憶をたどって、妻の名前を呼んだ。ほんとうに行ってしまうつもりなのだ、と急に寂しくなって、長く帰らないの？　と聞いた。妻は、いいえ、２泊だけだよ、と確かにささやいた。
　こんな夢から覚めた私は、しばらく泣いた。(2023.10.16)