黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

本のあとさき

2019年11月04日 21時25分06秒 | ファンタジー
 1968年秋、51年前のちょうどこの季節、ピストルによる4件の殺人事件が立て続けに起きた。そのころ、いや今も、この種の事件が起きたときの世間の驚きは長続きしない。なぜなら、このようなことは、ずっと前から、何世紀も前から予見されていたことだから。ご多分にもれず、私もほぼ同世代の永山則夫のことを思い出さないように心がけ、彼の著作にも目を通そうとしなかった。
 彼は、無残な少年犯罪が多発する中、1997年処刑され、世間の記憶から消えようとしていた。しかし、2012年、彼の鑑定記録が突如、公になった。その後、某N局で記録の一部が公開された。彼のことをあえて知ろうとしなかった私にとって、その内容が自分の思いの中の永山そのものだったことにひどく衝撃を受けた。それでも、2013年に岩波から「鑑定記録」が出たころはまだ目をそむけていた。今回、「永山則夫 封印された鑑定記録」(講談社文庫)を手にしたとき、50年もの隙間を埋めるのは今しかないとなぜかそういう気持ちになった。私は彼のことを終生忘れることはないだろう。
 その他、購入したのは、「アイヌの世界観」(講談社学術文庫)、「荷風随筆集(下)」、石川淳の「至福千年」(いずれも岩波文庫)。列島の歴史を縄文、旧石器時代までさかのぼるには、神話や言葉、記号を調べるしかないのだろう。石川淳を読むのもやはり40数年ぶり。彼の「鷹」はそのころの私にとって鮮烈だったと記憶している。(2019.11.4)
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