黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

gooブログ開設七周年 

2016年09月05日 15時08分24秒 | ファンタジー

 ちょっとした事情があって、自身のブログの中に、龍に関してまとめた文章がないか、昨日から調べていた。そして、今朝、その作業を再開してすぐ、記念すべき第一作の「ハクセキレイ」の投稿日が、まさに七年前の2009.9.5であることに気がついた。
 龍探しを中断し、しばらくの間、七年前の私を思い出してみた。第二の職場に入って丸四か月過ぎたけれど、それまでの経験を根こそぎほじくり返され、吹き飛ばされてしまいそうになる衝撃を必死にこらえる毎日。その詳細を述べるとしたら大部の書き物になるくらいの苦難と消耗の日々だった。自身の存在意義は、唯一、このブログを書く作業の中でしか確かめられなかった。今になって、このときのハクセキレイの周辺を思い出すたびに、どんなに最悪の状況に置かれても、あきらめなければ必ず大空へ飛び出していけるという希望と意欲がじわじわにじみ出して来る。ちなみに、私は現在も、その職場に懲りずにいる。
 私自身の後世に残すため、何年も前から、それらのブログ記事を一冊の本にしようと継続して取り組んでいる。レイアウトを調整していて気になった箇所が出てくると、暇な私は、時間と根気の範囲内で、ちょこちょこ手直ししないではいられない。ブログに掲載されている「ハクセキレイ」も、「ハクセキレイその後」(2012.5)を掲載するとき改稿した。その後も、思いつくたび記事の校正を続けている。
 ところで、先日、狩猟民が住んでいた集落を再現した場所に行った。今にも降ってきそうなどんよりした屋外をフラフラしていると、集落の裏側に迫る深い森の端に、ひっそりとたたずむ祭祀の跡があった。ここが熊を送る祭りを実際に執り行った遺構なのか、どこからかこの場所に移設したものなのか、それともただの作り物なのか。私は、大きな家屋の入り口で、黙々と刺繍を刺している中年女性を見つけて聞いてみた。すると、彼女の表情は急にくもった。
「ずっと昔、この建物が集会所として使われていたんですよ」
「そうか」ピンと来た私は、「ここは立入禁止ですよ」という彼女の金切り声を無視して、広い家屋に足を踏み入れた。
 屋内の入り口寄りに切られた大きな囲炉裏で薪がブスブス燃えていた。その煙によって、高いところからぶら下がって口を大きく開けた魚、天井、壁も床も真っ黒にいぶされていた。この広間こそ、熊送りの前夜祭に大勢の人々が寄り集まって、一晩中飲み食い明かした場所なのだ。酔いしれた熊は、翌日、広間の奥の窓から戸外へはい出て、祭壇の柵にしばらく鎮座した後、薄暗い森の向こうへ飛び立った。(2016.9.5)
コメント
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