黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

「ネコ国発 夢便り」 あとがき

2013年01月08日 13時51分05秒 | ファンタジー

 本ブログに、2009年から2012年まで掲載したエッセー風の雑文を、「ネコ国発 夢便り」というタイトルで、一冊の本に製本することにした。以下は、その本のあとがき。

<あとがき>
 誰しも、この世に生まれ落ちたなら、それ以前の過去形へはぜったい引き返せないとわかっている。なのに、置き忘れてきた出来事をさも惜しんで、あのとき、なんて馬鹿な選択をしてしまったのだろう、とって返してくれと、じたばた後悔するものだ。平成二十一年夏ころから二十四年末にかけて、私の人生の階段に用意されていた運命とは何と奇抜なものだったか。なにしろイレギュラーすぎて、夢想家の私の予想さえはるかに超えていた。
 世間的には初老という年齢になったのに、いやその年齢になったからなのか、自分自身のことを生まれながらの自由主義者だと思うあまり、何か事が起きるとたちまち意気に感じ、周囲の忠告や心配などにまったく耳を貸さないで、単独行動を起こしてしまう。勝ち目のあるなしなんて二の次でとことん突き詰める性分なのだから、それが災いして、全身傷だらけになる。それでも決して相手の軍門に下ろうとしない。聞き分けのない子どものように、いつまでもぐずついている。なんて扱いにくいヤツなんだ。こうして私は、刀折れ矢尽き果て身動きもままならず、恐怖と後悔に苛まれながら、ズブズブと過去に沈潜し雑文を書き続けた。
 ところで、寿命の尽きるころ、この三年半の出来事を何らかの方法で書き記したいという気持ちになったらどうしよう。そのありさまを想像するだけで、背中が興奮でピリピリする。人生の最晩年になってまで見苦しい振る舞いをすべきでない、と自制する心と、齢が齢なのだから多少暴れるくらい大目に見てもらおう、という心とのせめぎ合いを当分続けることになるだろう。この機会に、多大なご迷惑をおかけした皆様に対し、心からお詫び申し上げる。
    平成二十五年一月                  著者
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