BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

バスの幸運

2010年02月02日 | 古本
 地名が頻繁に出てくる小説やノンフイクションなら、とりわけそれが北海道なら
通過も含めて知らない町はないし、すぐに地理関係や雰囲気をイメージできる。それが
日本国内でも大概の位置や距離感が掴める。
 でもしそれがアメリカ大陸なら、大都市のだいたいの位置が分る程度だ。この類いの
ノンフイクションを読むと、何度もその本に載っている地図をみて確認するしかない。
それが大雑把な地図であれば、アメリカにおける凡その東西南北くらいしかイメージで
きない。この本のマイナス要因があるとしたら、その部分だけだろう。出版時には外国
での翻訳はあまり意識されなかったなかな。(あるいは1997年刊の集英社単行本の
ときは、もう少し詳しい地図や写真が多く使われていたのかも)
 しかし中々ハードなこの本のことは、仕事仲間のSさんに教えてもらった。郊外大型
書店で探せなかった〔ある本〕だが、近くの書店であっさりと見つけられた。いずれに
と悠長に構えるほど、アタシに残っている時間もないし気も短いのだ。(笑)

 大学を卒業した若者が、2年ほどの放浪を経てアラスカの山中に入った。それなりの
サバイバル能力で16週間は生き延びたが、最期に力尽き 餓死した。 その2年間と、
前後にあった青年の行動と心の軌跡を書いたノンフイクションで、亡くなった主人公の
クリストファー・ジョンソン・マッカンドレスは、死後 作者のジョン・クラカワー氏
と出合ったことになる。なんによらず若い人間が意図せず命を落とすことに心が痛む。
ことさらそれが主人公のような若者ならだ。どういう青年だったかは本を読んでもらう
しかないし、アタシが説明しても意味がない。新年の1月末ギリギリ、今年に出会うだ
ろう何冊かのベストな本を読めたのは、S さんに教えてもらった幸運でした。

 「 荒野へ 」 著者 ジョン・クラカワー  集英社文庫  定価700円(税込み)
  ( 2009年3月10日 第4刷 )
 この原作は「インツゥ・ザ・ワイルド」監督・脚本 ショーン・ペンで映画化。
  (偶然、この映画の予告編だけはみていました)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。