BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

タテカン

2010年04月27日 | 古本
 昨年の6月、道北に旅をした。日本海に面するサロベツ原野は、真直ぐな道路と果て
しない草原が続く。人家や行き交う車さえ、遥かを見渡しても見当たらず気分がいい。
とにかく〔人気〕というものが無いのだから、当時流行っていた新型インフルエンザの
ウィルスだって、ここでは何も出来ずに通り過ぎるだろう、と書いた。
 そんな大いなる自然や稚内の海岸名所の至る所にも「テロ警戒中」という大きな縦看
板が目に付いた。あれは何処の誰がどんな意図で設置しているのだろうか。そしてもし
テロの計画・実行を計る人に、あの看板はそれを抑止・防止する効果はあるのだろうか。
あまりにも場違いなところにぽつねんと在ると、違和感という意味で確かに目に付く。
あれは道北地方の人口減と停滞経済に対して、その分活性化する動植物へのジョーク
警告としてなら有効だろう。エゾ鹿など人や車を恐れていないようだし。(笑)

 森 達也さんは都会のなかの、そんな看板やポスター・監視カメラに疑問を投げ掛けて
いる。もう在ることに慣れすぎているポスター類の文章にも、日本国民の均質化と同調
しない人への排除性をみて、どうなのかと検証する。
 あまりにもその通りと思う指摘を激しく納得だ。新刊ふた月目で半額コーナはアタシ
には在り難いが、森さんには気の毒だ。でも新刊でほかに何冊も買ってるから許して。

 「誰が誰に何を言ってるの?」 著者 森 達也  大和書房 定価1500円+税
  ( 2010年3月5日 第1刷発行 )