帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百七十八〕坤元録の御屏風こそ

2012-01-14 00:13:08 | 古典

  


                                            帯とけの枕草子〔二百七十八〕坤元録の御屏風こそ


  言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。


 清少納言枕草子〔二百七十八〕こむ元ろくの御屏風こそ

 文の清げな姿
 坤元録の御屏風は趣があると思える。漢書の屏風は雄大だとの評判だ。月次の御屏風も趣がある。

 原文
 こむ元ろくの御屏風こそおかしうおぼゆれ。漢書の屏風は、おほしくぞきこえたる。月なみの御屏風もおかし。

 心におかしきところ
 根元ろくの身兵部(つわもの)こそ、情趣があると思える。感処の兵部は雄雄しときいている。月並みの身兵部も趣がある。

 言の戯れと言の心
 「こむ元ろくの御屏風…坤元録の御屏風…唐の大地が描かれ漢詩など書かれてある屏風…根元ろくの身兵部…根本で正常な身のつわもの…よきおとこ」「こん…坤…地…根…根元…本来の性」「元…本」「ろく…録…記録…陸…高く平らなところ…平凡…普通…ろくで無しではない」「漢書…感処…感どころ」「おほし…ををし…雄雄しい…猛々しい」「月なみの御屏風…十二か月の風景が描かれ和歌など書かれてある御屏風」「つきなみ…月次…月毎…つき並み…普通」「御屏風…身兵部…つわもの…おとこ」「おかし…趣がある」。



 清少納言の言語観は、枕草子第三章に表されてある。


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)

 
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。