『ソウルボート航海記』 by 遊田玉彦(ゆうでん・たまひこ)

私たちは、どこから来てどこへゆくのか?    ゆうでん流ブログ・マガジン(エッセイ・旅行記・小説etc)

オバマTシャツ

2009年03月31日 10時39分10秒 | 航海日誌

ハワイの雨季もそろそろ終わりの3月下旬、ホノルルの繁華街を歩いていて目立ったのが、みやげ物屋の店頭に吊されたオバマTシャツだった。どれも大統領の顔のアップがプリントされている。大統領選直後は飛ぶように売れたのだろうが、今は店頭でヒラリ~ヒラリ~と風に舞っていた。2枚で幾らの投げ売りでも、誰も見向きもしない。常夏ハワイもどこか寒々な風景。オバマ大統領への期待はどこ吹く風。ビッグスリーへの破産法適用が報道され、株価も一気に300ドル下落だ。まるでスーパージェットコースターの上り下り。乗っている者はかなわない。

江戸時代にこの国は黒船でやってきて、鎖国の門をこじ開けた。通商とは名ばかりのお題目で、新植民地政策のなにものでもない。以来、あの手この手のダブルスタンダードで好き放題だ。どの話を持ち出してそれを語るか。ありすぎて困る。戦後食糧支援と称して昭和24年だったか、家畜の餌の脱脂粉乳を大量に送りつけたが、後にちゃっかり請求書をまわしてきたそうだ。支援が聞いて呆れる。

セコイ些末な話だが、象徴的でもある。表面はジェントルを装い、内面は腹黒い黒船海賊だ。それがダブルスタンダードである。この言葉の意味を日本人ももう解ってもいいだろう。陰謀のセオリーとか、すぐそこにある危機だとかタイトルの付いた映画を娯楽で観ている場合ではない。オバマもダブル。欧米の常識である。その答えは、ディランの歌流にいえば、ハワイに吹き寄せる貿易風の中にあるのか。


安酒場

2009年03月30日 11時13分20秒 | 航海日誌
数年ぶりに高田馬場の栄通り奥にある「鳥やす」という焼鳥屋へ行ってみた。この店は25年前からたまに行っていたが、メニューが大幅に変わっていた。名物のウナギの兜焼きや鳥わさが無くなって、焼き鳥のほか300円の酒肴が30種類ほどずらり。あんきも、ぬた和えなど取ったら味も量も満足させる内容。7時には店内が客でいっぱいになった。昔から混む店だったが、安い旨いで勝負して人気を保っているようだ。友と二人で3時間余りたっぷり酒を飲んで5000円ほどだった。

最近、閉店する店が目に付くようになった。近所を歩いていると、必ず一軒は目にする。入り口に貼られた、長らくご贔屓にしていただき・・・という文字。不況風に強いはずの飲食業も、ここまで世間が逼迫状態となれば、それまで当たり前だった商売も続けられない。これからは閉店の憂き目をみる店がさらに増えるだろう。

今、書き進めている小説も舞台が新宿、高田馬場界隈だが、時代は2012年で、ふつうの居酒屋は姿を消している。インフレで安焼酎一杯1000円だ。つまみは、漬物、かわきもの、モツ焼き程度しかない。小説だから、今の状況が進めば、こんな世界かといった極まった風景を創出させている。酒とつまみを安さで勝負して、行き着く果ては闇酒場。なけなしの金を叩いて飲む密造酒の味は、大人にとっての蜜の味である。さて、もう数年経てばどうなることやら・・・


父さんのしわ

2009年03月28日 08時26分32秒 | 航海日誌
小学校六年生の思い出文集で、忘れられない詩があります。

父さんがおこるとしわもおこる
父さんがわらうとしわもわらう
父さんがなくとしわもなく
ぼくは父さんがすきだ

その同級生は、クラスでいちばん成績の悪い子だった。
ほとんどしゃべらない子だった。
ぼそぼそっと何か言ってはにかむだけだった。
成績が悪いどころか、かれは低脳と思われていた。
そのころわたしもそう思っていた。
あんな詩が書ける子だった。
かれはどうしているだろう。
お父さんになってかれらしく生きているとおもう。
ふと卒業の春にかみしめる。


伝説の島にて

2009年03月27日 10時27分05秒 | 航海日誌
昨日まで所用で5泊ほど、太平洋に浮かぶ伝説の島へ行っておりました。所用の名目は子どもの卒業記念旅行で、義理の祖父母家族との団体旅行です。こういう大勢での旅行は気遣いもいろいろあって、ま、嬉し楽しおもしろ可笑しばかりとはいきません。異国での濃密な時間を過ごすわけで、どこの家族でも同じく、いろいろありまして(笑)。異国旅行は、日が経つにつれ疲れが溜まってきますから、余裕もなくなってきて素の顔が出てきます。あれが見たいこれがしたいと、欲求がそれぞれ違います。みんな楽しみたいから旅行に来ているわけで、我が儘度のボルテージが上がっています。赤の他人どうしなら我慢するところも、家族は互いに放出しっ放し。

そこで感じたことは、人と人との間合いというものでした。関係性ですべて違うし、状況場面でどんどん変化して、道中それはそれは目まぐるしいものです。伝説の島のあれこれを観ているよりも、家族という人間どうしの間合いを観ているほうが面白く感じる旅でした。その間合いの中に自分もいるわけで、ボーッとしているわけにはいきませんから、右へ左へ後ろへ前へ精神的に動きつつ、まるで合気道をしているように思えてきて、勝手に修行しておりました。そんなこと思っているなどと家族は知りません。合間でちょこっと話すと、ああ、また変なことして(考えて)いるのねと(笑)。

旅には、二種類しかありません。一人旅か、複数での旅。私は一人旅を好みますが、たまに家族大勢での旅行も精神修行に良いものです。ルーティーンな日常から、ポーンと飛び出して、濃厚な家族という人間関係を味わう。思えば、家族というものはこの人生の旅のパートナーなのだと、当たり前なことを改めて思い起こす。我が儘を出し許し合っているのが家族なんだと、感謝したりね。マハロありがとう!バタンキュー。そんな伝説の島、HAWAIIでございました。


都庁の書店

2009年03月20日 10時31分52秒 | 航海日誌
昨日、所用で都庁へ行って、その帰りがけに1階にある書店に寄ってみた。規模は、商店街にある本屋さん程度。だが、書籍選定は徹底されているようで、その半分は、公務員試験の問題集、行政、法律などの専門書。残り半分が一般書だが、経済コーナーに回ってみて、ちょっと驚いた。国際政治学者の副島隆彦氏の本もあれば、闇の権力構造の総本山といわれる「300人委員会」を暴くジョン・コールドマン博士の著書や、ベンジャミン・フルフォード氏の本もある。

このお三方の著作に共通するのは、その内容が陰謀論だとして、世間一般から嘲笑、あるいは否定的に扱われてきた代表的な存在だということだ(恐らく現在でも)。ところが、かれらの本が都庁の専門店に平積みになっているのを見て、腕組みして考え込んだ。公務員も読んでいるのか・・・ついに、陰謀説も単なる笑い事では済まされないと、認識が変化し始めた証ではないかと。副島隆彦氏のホームページで、「最近では私の本が丸の内でベストセラーになっているくらい」と書いてあった。都庁でも、そのようである。時代は刻々と動いている。

【お知らせ】
今日から、ちょっと旅に出かけます。帰ってきたら、またブログ再開しますので、
よろしくお願いします。再会(サイチェン)!

聞いてはいけない4

2009年03月19日 16時28分03秒 | 航海日誌
「古代中東域に起こった宗教に「マネー教」というようなものがあったと聞いたんですが?」

「古代ユダヤ教一派に、そう呼べる教義があったかもしれませんが、記録がなく、あっても公開されていませんのでなんとも」

「ユダヤ教はヤハウェを唯一の神とし、分派したキリスト教も、イスラム教も根っこは一緒なんですよね?」

「そうです。もとは同じ一神教です」

「でも、キリスト教は、キリストを神さまとして拝んでいるんじゃないですか?」

「キリストは父です。われらの身代わりとなったお方です」

「じゃあ、大本のヤハウェという神さまは?」

「きみ、その神名は無闇に口にしてはいけません。あくまでも造物主、創造主」

「罰が当たるんですか?」

「シーッ」

【解説】
日本人には全く無感覚の宗教領域であろう。現代病理は拝金主義が生むと理解されるが、今に始まった話ではない。人間の祈りを唯一神に捧げる最高の供物は何か? その最高の供物を世界から収奪して集め、極秘の神に捧げるのが「マネー教」のようだ。そのパワーたるや、想像を絶する。敵を欺くにはまず味方から欺け。あまた世界に流布される宣教宣伝は複雑怪奇だ。書物、舞台、映画、テレビ、ネット言論の数々。よって陰謀論がうまれ、それがまた巧妙に利用される。九分九厘それが理解されていない。すべての看板・題目は仮面である。生き血は、すべてマネーに吸い込まれて、唯一神に捧げられるのである。それは抽象概念ではない。何世紀も存続する具体的システムだ。なぜ、宗教と戦争が絡むのか。宗教は人間を隷属させ、戦争は金を生む。それがオーダーであり、ミッションであり、グローバル経済の真意であり、明かしてはいけない極秘である。これが、世界最大の聞いてはいけない物語だ。

※これは隠喩であり、登場人物も場面もすべて架空の物語です


聞いてはいけない3

2009年03月18日 10時35分28秒 | 航海日誌
「日本は敗戦国として東京裁判により様々な処分、扱いを受けてきましたが、アメリカの場合、その後には国際法に違反したとされる原爆投下が断罪されないのはどうしてですか?」

「連合軍の戦勝国ですから」

「では、勝てば何をしても罪に問われないということですか?」

「戦争ですから」

「イラクやアフガニスタンも、同じことですか?」

「テロ国家ですから」

「では、テロ国家であれば、劣化ウラン弾を使用してもいいと?」

「国際法では禁じています」

「でも、使われたと聞きますが? 国際法って?」

「シーッ」


聞いてはいけない2

2009年03月17日 09時46分23秒 | 航海日誌
「原発廃止に向かってきたヨーロッパ諸国が、どうして今また原発推進に方向転換したんですか?」

「ええ、地球温暖化問題で化石燃料がもう使えないからですよ」

「でも、温暖化は総排出量が0.数%しかないCO2の問題ではないという研究者も少なくないと聞きますが? 太陽黒点活動の活発化が原因との説もありますが? 温暖化は一時期で、むしろ氷河期へ向かっていて、今後は気温が低下するという話も」

「ええ、そう主張する学者たちもいますが、これは政治問題でして、CO2削減はビジネスでもあり、世界合意のうえで取り決めたことですから」

「でも、チェルノブイリ事故以降、原発は余りにも危険だとの認識が生まれ、特にヨーロッパでは脱原発の合意があったのでは?」

「合意はいろいろ都合で変わるんです」

「誰の都合なんですか?」

「シーッ」


聞いてはいけない

2009年03月16日 16時27分12秒 | 航海日誌
「新型鳥インフルエンザに感染すると、日本では数千万人が発症して600万人以上が死亡するといわれていますよね」

「人から人に感染するタイプが広まると、そう予測されています。また、いつそうなるのか解らないのが実情です。それをパンデミック、感染爆発と呼びます。新種のウイルスですから、まだ本格的なワクチンがなく、その前段階のプレ・ワクチンを備えています」

「でも、そのワクチンが日本の場合、1000万人分しか用意されていないって聞いたんですが? 国民12人に1人分しかないのは?」

「はい。ですから皆さんは自己防衛に努めてください」

「防衛って、どうすれば?」

「感染のニュースが流れたら、部屋に立て籠もって出ないことです。食料を備蓄しておいてください」

「ところで、そのワクチンは、どんな人が接種できるんですか? やっぱり」

「シーッ」


質疑応答

2009年03月15日 18時21分58秒 | 航海日誌
世の中には、聞いていいことと、聞いてはいけないことがある、らしい。

聞いていいことは、いいとして、聞いてはいけないこととは、どんなことか。

そこの根本問題から解かなければ話は何も始まらないのだろう。

【事例:1】
「日銀って、資本金1億円ぽっきりの株式会社なんですってね」
「ええ、そうです」
「民間がお札刷って、国に売って儲けているそうですが?」
「世界中大抵どこでもそういうやり方ですから」
「じゃ、どうして法律で国に発行権があると定められているのに国がお金刷らないんですか?」
「シーッ」
【事例:2】
「抗ガン剤投与に関するアンケートで、2000名の医師の内、1998名が自分が癌になった場合、投与は拒否すると聞いたんですが、じゃあ、どうして抗ガン剤を使用するんですか?」
「シーッ」


お金って何?

2009年03月14日 21時13分46秒 | 航海日誌
今夜は、こどもの頃からずっと疑問に思っていることを正直に。
お金って何なのか・・・小学生のころ、ふと思ったことがありました。大人たちが眉間にしわを寄せて話していることって、お金の事が多かったような。本屋に行って、「貨幣の歴史」という本を買い、読んでみた。古代は貝殻がお金で、それからコインとなり、中世に紙幣(兌換券)がうまれ、紙幣が誕生した、というような説明がなされていた。しかし、お金が何なのか、その核心について書いてなかった。それはつまり、お金がなぜ誕生したのかではなく、なぜ、お金がないと、人は生きていけないのかについてだ。お金がなくても、世界中には空気水、鉱物、動植物、地球にあるものはなんでもあるのに、なぜ、お金が媒介しなければ、人が生きていけないのか?

しかし、この素朴な疑問を、どう、質問していいのか、それすら、いまだによくわからないのだ。どう聞けば答えてもらえるのか、教えてもらえませんか?


超感覚体験

2009年03月13日 09時29分36秒 | 合氣道のすすめ
3日前の記事で、武道は「居着かない」ことを旨とすると書いた。そのことを痛感した筆者の体験談。近所を歩いていたときのこと、交差点で進行方向が青になっていたので、進んだ。ただ、交差点の左角は建物の壁で視界が全く閉ざされていた。左から自転車が飛び出して来た。瞬間、身体をかわした。と同時に、自転車が転倒しないように腕で抑えていた。その自転車に乗っていた少年がキョトンとした目をした。説明すると長いが、その間、ほんの1,2秒か。

何も考えることなく、身体がそう動いていた。自分もふしぎな感覚だったが、なるほどと納得した。避けなければモロにぶつかりケガをしていたし、避けたままだと少年が驚いて転倒していた。その両方を一瞬で解決していた。自慢話に聞こえるかもしれないが、合気道の身体感覚というものをお伝えしたいのだ。居着かない(固まらない)から、動け、いかようにも成るという話である。つまり、居着かないとは、放心ではなく、無心状態ともいえようか。

合気道開祖・植芝盛平翁には、すごい逸話がある。大正末期、大本教の出口王仁三郎に随行して満州に渡った折、張作霖の討伐軍からの攻撃を受けた。夜中の発砲でどこから玉が飛んでくるのかわからない。その時、先頭に立った開祖は、ひょいひょいと玉を除けていたという。蛍の火のようなのがふわふわ飛んで来るから、それを除けたまでと語ったという。ここまでくると、未知の領域である。

この超感覚は、映画のマトリックスで主人公が攻撃を受けた途端、スローモーションになる場面があるが、それと酷似する。時間が間延びしたようにゆっくりとなり、動いている。事故で何メートルも吹っ飛ばされる最中にスローモーション感覚を体験したという話を聞くが、それも同じことだろう。とにかく、時間感覚というものは不思議であるが、合気道を含め、武道を修練していると、どうもそういった身体能力が開花するようである。


貧困社会

2009年03月12日 20時05分23秒 | 航海日誌
NHK「クローズアップ現代」で、昨日は高校へ行けない生徒の問題、今日は病院へ行けない子どもの問題を取り上げた。製造業に関わる親の家庭で顕著だという。景気後退の煽りがモロに家庭を直撃し、子どもへ影響が出ているのだ。元首相は、自己責任を言い、傷みを別けると言い放った。確かに、今、どんどんそうなっている。予定通りだ。

周りを見渡してみよう。傷む人はいないか。いなければ、今のところ幸いか。私の周囲では、そろそろ見え聞こえ始めている。他人事ではない。明日は誰も約束してはくれない。現状に、居着いてはいけない。シープル(人間羊)でいてはいけない。何か見えないものに任せておけば、そうなる。自己責任という言葉の真意は、そういうことだ。最後は自分に覆い被さる望まぬ禍害だ。それが貧困なる精神の社会だ。


ネットラジオ時事放談

2009年03月11日 10時07分33秒 | 航海日誌
連日のニュースで政界激動、経済動向などを観るにつけ、これから世界はどう変化していくのだろうかと感じている人が多いはずだ。しかし、まったく予測が立たない。来年には景気も上向く論もあれば、いや、2~3年は掛かるだろう、いやいや、もっと長期になるという人もいる。さらに、世界的な大恐慌なのだから、その後、世界規模で再編成が起こると語る人もいる。一体どうなるのか? テレビ新聞だけでは、核心部分がみえてこない。

毎週、聴いているネットラジオ番組がある。経済アナリスト藤原直哉さんの「日本と世界にひと言」と「21世紀はみんながリーダー」。政界財界事情(裏話も含め)が本音で語られ、聴いていて合点がいくことが多い。今週のテーマは、「どうする?」。世界中で破綻が起こっている渦中で、人は何を拠り所に生きるのか。何も考えないで流されて生きていると、途端に不安に呵まれる。日々、自分なりに新たな目標を立てて生きて行くことが大切だと語る。ところが、政財界をみると、この30年、短期的な見通してだけでやってきた。今の国会も、今日のめしを食うために集まっている永田村。まったく未来が語られることがないと、辛辣で歯切れの良い語り口調の時事放談だ。参考になることが多いと思うので、ご興味のある方は、下記アドレスへ、どうぞ。

藤原直哉のインターネットラジオ
http://www.fujiwaraoffice.co.jp/menu/lohas/blog/top.php


活路

2009年03月10日 09時36分31秒 | 航海日誌
今朝のNHKニュース。世界貿易の低下が急加速しているようだ。去年のピーク時から26%の低下。1929年世界大恐慌の場合、4年かかって20%低下しているそうだが、現在は四半期でその率を超えている。解説員が、このままいけば大変な状態を迎えることになるので、一刻も早い大規模な経済対策を打たなければならないのですと、淡々と語る。切迫感がない。NHKニュースとは、そういうものだ。古舘伊知郎のように語ったところで、仕方がない。経済の元の言葉は経国済民(国を治め民を救う)。誰が、救うのか。

社会人は自ずと利益不利益を常々念頭に置いて行動している。経済活動である。現代生活も経済活動に組み込まれている。ヘタに動いてバカを見たくないが、動かないで損もしたくない。平均的にいられればいい。ところが、バランスが狂った時は、平均値などない。経年変化は加速度的で、刻一刻と時間差問題になって臨界点を超える。

時々に書いている武道精神でいえば、武人は「居着く」ことを最も避ける。居着くとは、動けない状態のことだ。どんな状況下に置かれても、慌てず騒がず、平静を保ち、いついかなる時でも動ける心身でいることをよしとする。また是、不動とも云う。例えばの話、関ヶ原合戦場のど真ん中に居、慌てて動けば渦中に巻き込まれ一瞬で滅亡する。巻き込まれたくないならば、居着かないでそこにいるしかない。やがて一瞬、活路が開ける。それを歩めばよいと云う。