あれは、中学2年のときだ。いつも行く、電車通りの本屋で。漫画を立ち読み、雑誌コーナーへひょろり行くと、そこは、ドキドキするオトナの一角である。年配の大人が一人立ち読みをしている。
斜めうしろから、そのひとが手にする雑誌を垣間みると、自分では開けないピンク色のグラビアが開かれている。チラ見の興奮。で、その大人の横顔をチラ見すると・・・なんと、小学校のときの先生だった。しかも。
ええ、えー。校長先生が見るんじゃあ!
見ては行けないものを見てしまったようないたたまれない気分になり、ぼくはその場から逃げ去った。それを目撃した自分が悪者のような、チラ見したぼくが犯人のような。
校長という立場で、それが少年に目撃されたらマズいのだ。だから目撃した少年であるところのぼくが悪いのだ。そんな場面を目撃したからといって、不利な立場は子どもの自分であることを本能的に察知して、ぼくは逃げた。
後も見ずに一目散の少年は、今思えばおぼこもいいところよ。そもそも、自分だって見たい一心でオトナのコーナーへにじり寄ったのであった。校長先生だって。だが、犯行現場にいて、それを目撃した自分も当事者に思えた。
あのことがずっと恥ずかしいのだ。校長が女のハダカをニンマリ見ていたのを目撃したのが恥ずかしいのではない。なにがなんだか、ぜんぶがぜんぶ恥ずかしいのだ。
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ホアンインゼンインアホ(どちらから読んでも同じ)