『ソウルボート航海記』 by 遊田玉彦(ゆうでん・たまひこ)

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父さんのしわ

2009年03月28日 08時26分32秒 | 航海日誌
小学校六年生の思い出文集で、忘れられない詩があります。

父さんがおこるとしわもおこる
父さんがわらうとしわもわらう
父さんがなくとしわもなく
ぼくは父さんがすきだ

その同級生は、クラスでいちばん成績の悪い子だった。
ほとんどしゃべらない子だった。
ぼそぼそっと何か言ってはにかむだけだった。
成績が悪いどころか、かれは低脳と思われていた。
そのころわたしもそう思っていた。
あんな詩が書ける子だった。
かれはどうしているだろう。
お父さんになってかれらしく生きているとおもう。
ふと卒業の春にかみしめる。