サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

後悔、仕事を奪ったこと

2016年08月19日 17時43分34秒 | 介護の後悔
認知症になっても、生き生きと今まで通りの生活をされている人は、いっぱいいます。

高齢者の認知症の方も、畑仕事や、裁縫など、長年やってきたものは、結構、体が覚えている。少しくらい間違えても、周りがとやかく言わずに、さらっと流してしまえば、本人にダメージは残りません。

進行が速いと言われる若年の人でも、早くから公表し、周りの適切なサポートを受けている方は、進行が緩やかな気がします。そして何より、その方の「仕事」がきちんとあること、これが大きいと思います。何でもいいんです。これが私の仕事だ、と思えるものがあり、それを続けることが、本人の大きな自信になります。

でも、サキさんの場合は・・・。

家の中でのサキさんの仕事を、私は奪ってしまった、取り上げてしまいました。
台所の仕事、主婦としてのサキさんの職場である台所の仕事。
野菜の皮むき器(ピーラー)を使うたびに指を切っていたサキさん。包丁もだんだん使えなくなってきました。炊飯器の水加減も分からなくなり、研ぐのはサキさん、水の量は私の係になりました。しばらくして、研ぐのも私の仕事のなりました。
洗い物くらいなら出来るよ
サキさんが言ってくれるのですが、断ってしまいました。サキさんが洗うと、どうしても泡のついたまま乾燥機に入れてしまうので・・・。気持ちはわかるのですが、
ありがとうね、でもいいよ、座っとって
私の言い方も、毎日毎日同じ繰り返しの中で、段々ときつい言い方になっていました。
いいから座っといてって、言っとるでしょう、お願いやでじっとしとって
まるで、邪魔者扱いです。サキさんの想いはどうだったでしょう。でも、この時は自分のことで手一杯でした。

洗濯物も、うまいこと干せなくなり、取り込んだ後も、どこに片づけたかわからなくなり、一緒にやるようになり、しばらくして私だけの仕事になりました。

サキさん一人ではできないことが多くなってきました。日々の時間に追われる生活の中では、ゆっくりのんびりやればいいよ、とはならずに、サキさんから仕事を奪う結果になってしまいました。
そのほうが、私一人でやったほうが、早くて楽 だからです。

サキさん一人で出来なくなった時、まだ介護保険は利用していませんでした。この時に、包括さんや、ケアマネさんに相談し、サキさんの仕事へのサポートを頼んでいたら、違った展開になっていたと思います。
買い物のサポート
料理のサポート
洗濯のサポート
そうサポートです。やってもらうのではなく、あくまでもサキさんが行う仕事のサポートです。主体はサキさんです。

でも、今の介護保険制度で出来るのかな。そのころのサキさんは介護認定を受けていたとしたら、おそらく要支援。要介護だとしても、家族のための料理までは認められていない気がします。要介護者本人のための食事提供や、洗濯物の取り込みなどはできても、家族の物はできないはずです。

介護保険がダメなら、それこそお手伝いさん。もしくは若年性認知症の初期の人をサポートして生活を支えるボランティアの皆さん(そんな人いるのかな)に、援助をしてもらえれば、サキさんはまだまだ働けたはずです。自分の仕事だと言えるものを持ち続けられたはずです。

若年性認知症の初期の人の生活を支えるための援助制度。サポート体制。とても重要で大切だと思います

サキさんの仕事を奪ってしまったこと。
サキさんを家の中で、お客さん扱いにしてしまったこと。
サキさんに生きがいを感じさせてあげれなかったこと。

全てを後悔しています


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
またひとつ勉強させて頂きました (香菜子)
2016-08-20 08:30:24
香菜子です。またひとつ勉強させて頂きました。出来ることを出来る範囲でしてもらうことが大事なんですね。精神疾患・精神障害を持つわたしの家族も以前のようには出来ないことが増えて、それを見てこちらも二度手間になるなら自分でしたほうが早い、と考えがちです。だって二度手間を受け入れるほどの心身の余裕がないから。でもそれはわたしの自分勝手で自己中心的、上から目線で傲慢な考えで、精神疾患・精神障害の家族のためにはならないですよね。家族のためにも出来ることは出来る範囲で任せようと思います、いつも貴重な経験談をありがとうございます 香菜子
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Unknown (サキさんの夫)
2016-08-20 21:39:48
香菜子さん、いつもありがとうございます。

本人に任せることも必要なのかなと思います。それが、その人が今までやり続けていたことならなおさらです。
でも、任せるのは、時間と心に余裕がないとできません。
香菜子さん、うまいこと気分転換をして、心に余裕が持てるといいですね。私には余裕がありませんでした。
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Unknown (ななしの権兵衛)
2016-08-21 08:21:32
貴重な体験談ありがとうございます。本人には,その時々の症状,能力に応じて何かをやってもらうことが大切なようですね。勉強になりました。
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Unknown (サキさんの夫)
2016-08-21 18:55:59
権兵衛さん、いつもありがとうございます。
後悔することばかりです。サキさんがまだできることを、やらせなかったことが・・。
本人のプライド、意地、尊厳をいかに守っていくのかも大切だと思います。私は、心と時間の余裕がなく、出来ませんでした。
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Unknown (アワキビ)
2016-08-23 23:11:40
うちの夫が要支援の時に、家族二人分の料理を夫がつくるのを、ヘルパーさんに教えてもらい見守られながら、じっくりゆっくり、夫のペースで丁寧に1時間半かけて、週2回やっていました。その頃、私は仕事をしていたので、帰宅すると夕食の準備が出来ているので、ずいぶん助かりました。
要介護になってしまうと、ヘルパーさんが食事をつくるので、本人の分しかつくれないのです。
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Unknown (サキさんの夫)
2016-08-24 22:12:05
アワキビさん、コメントありがとうございます。私ももっと早くにサキさんの介護認定を受ければ良かったのにな・・と後悔しています。そして要支援だったら、アワキビさんのご主人さんのように、サキさんの仕事の手助けをしてもらえたのに。サキさんもきっともっと生き生きした生活をおくれたはずです。でも、要介護認定になると、本人の生活支援しか出来なくなるんですね。家族のための食事をヘルパーさんと要介護者が一緒に作ることはできないんですよね。
やっぱり、何か変ですよね。
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