サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

大谷のマネして

2021年06月19日 23時12分45秒 | 私の日記
 今週もまた家に閉じこもっている。

 何をする訳でもない、何かをしなければならないという事もない。買い物とゴミ出し(火・金)以外は、決まった用事もない。ただ、時の流れを見守っているだけ。(昔、沢田研二の歌に「時の過行くままに」というのがあったが、そんなカッコいいものではない。ぼ~~っと時間を見送っているだけ)

 朝起きて、新聞のテレビ欄を見て、ザックリとその日の動きを決める。特にテレビ欄のNHK-BS1のところにある「大リーグ中継」の放送予定、出場選手をまず確認。エンゼルス、大谷出場予定・・・とあれば、その時間は何はさておき「大リーグ中継」を見るというスケジュールが、まず決まる。他の選手の時はそれほど優先されないが、大谷選手はやはり別だ。

大谷の フォームマネして ほうきふる
そんな川柳が頭に浮かぶ。

このほうきが、手にしっくりときて、適度に抵抗もあり部屋での素振りには最適です。

 ほうきでの素振りは、イヤな思い出もあります。その時は、野球のバットに見立てての素振りではなく、テニスのサーブのマネをしました。何も考えず思いっきりほうきを振りかぶり打ち込んだ瞬間
バリ~~ン
蛍光灯のカサに思いっきりあたり、蛍光灯がバラバラに。
 サキさんにこっぴどく怒られたのは言うまでもありません。それ以降、テニス、野球を見ながら、ほうき、はたき(これもテニスのサーブのマネに丁度いい)を持っただけで、サキさんの鋭い視線を感じるようになりました。少しでも動くと「お父さん、蛍光灯だけは割らんといてよ」

 大リーグ中継が終わると、相撲のある日は相撲を見て(午後1時からBSで始まる)、無い時は夜までぼ~~っと過ごします。昼寝をする機会も増えました。お昼ご飯を食べると、ただでさえ眠くなるし、何もやる事が無い時には「寝るしかない」様に感じられてしまいます。
 外に出ればいいんでしょうが、昼間からブラブラしているところをあまり近所の人に見られたくないという思いもあります。堂々と町内の皆さんと接すればよいのでしょうが、何となく近所の方の目を気にしてしまいます。

 このまま家に閉じこもっていると、ダメなんだろうとは思うのですが、なかなか意欲が湧いてきません。今さら自分に何が出来るんだろうかって思ってしまいます。


 どうせ、時間を持て余しているんだから、買った本くらいちゃんと読めばいいのに、なぜか読み進めることが出来ません。やっと、丹野さん、藤田さんのところまできました。
 当事者の方の文章を読むと、どうしてもサキさんのことが思いやられます。サキさんはどんな思いだったんだろう、と考えてみても、サキさんは家に一人でおきっぱなし。やっと私が家に帰った時、サキさんはその日の出来事をいっぱい私に話すけど、疲れた私はサキさんの話しに耳を貸さず、テレビとにらめっこ。これじゃ、どんどん不安になるし、不安定になって進行もしていったんだろうな。そして、少し進行すると、私が先回りしてすべてやってしまう。その方が早いから。その方が手っ取り早く、二度手間にならず。イライラもしなくて済むから。私が、そう介護者の私の都合で、だんだんと何もかも私が仕切るようになってしまった。

 どう考えても、サキさんの進行を速めたのは、私のせいだな。でも働いていて、他にサキさんといてくれる人がいなかったら、状況も分からないし、明日の仕事もあるし・・、やっぱり言い訳だけど、その時のサキさんはぱっと見、普通だったし。

 このあたりのことは、記憶も少しずつ曖昧になってきている。一度、ゆっくりと振り返ってみることにします。時間はいっぱいあるので。